富士経済、2030年の洋上風力発電システム市場3兆875億円を予測

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富士経済は、東日本大震災後、エネルギーシステムの多様化に対する理解が深まり、環境負荷の軽減が期待できる未利用エネルギーを活用した有望エネルギーシステムの世界市場を調査し、将来を予測した。

調査結果を報告書「発電・蓄電・給電・変換 先端新技術の将来展望 2012」にまとめた。

注目市場では、洋上風力発電の市場規模は2011年に3864億円だったのが2020年には4兆3442億円、2030年には3兆0875億円にまで増えると予測する。

海上には強く安定的な風が吹くため、稼働率が陸上風力発電の20%と比べて30~40%と高くより安定した電力供給が可能。今後、2030年まで大幅に市場が拡大するが、2030年以降は更新需要中心に切り替わると予測する。

海外では、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、中国、韓国などで洋上風力発電所建設や計画が進められている。イギリスではGW級の大規模洋上風力発電所を建設中で、ドイツでも30GW/Hの洋上風力発電所の設置計画が進められている。風力発電容量世界1位の中国では、風力発電所特区を指定して2009年から洋上風力発電所の開発を進めている。

日本国内では、2015年までに「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」を行うことが決定している。また、東京電力も2011年から着床式洋上風力発電の実証実験を進めているが、本格的な市場の立ち上がりは2015年前後になると見ている。

太陽熱発電市場は2011年が5200億円で、2020年に1兆5000億円、2030年に2兆1600億円を予測する。

蓄熱により夜間も発電が出来るため、太陽光発電に比べ電力の安定供給が可能と注目されている。ただ、広大な設置面積が必要で、太陽光の散乱する割合が高い中緯度の日本では導入に適さない。日本での建設計画はないが、JFEエンジニアリングが太陽光・太陽熱発電所の実験施設を設置するなど、国内企業の参入が相次いでいる。

北アフリカや中東など太陽熱発電の需要拡大が見込まれている地域での市場拡大が日本企業にとって重要なポイントとなる。欧州では、高額な固定価格買取制度の影響でスペインが市場を牽引し2010~2012年の導入実績・計画が急増したが、2013年以降市場が縮小する見通し。

太陽熱発電は、技術的な模索が続いており、プラント技術の発展とともに、各デバイスのコストダウンが求められている。集光ミラーの開発を進めている三鷹光器のように日本の高い技術力を活かせる分野もあり、日本企業は技術開発とともに有効な提携を結ぶなど、海外市場への戦略的な展開が必要となると見られる。

米国では、現在複数の建設計画が進められており、2013年以降、再び米国が市場をけん引する見通し。このほか、オーストラリア、イタリア、中東、北アフリカ、中国、インドなどの市場の拡大が見込まれ、太陽熱発電は2030年以降も堅調に市場は拡大すると予測される。

定置型電力貯蔵システム市場は2011年が171億円で、2020年に1257億円、2030年には1434億円を予想する。NAS電池、鉛電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、レドックスフロー電池を利用した大型電力貯蔵システムは、電力需給の多様化が見込まれ、電力調整や系統安定化を目的に導入が進む見込み。

2030年の予測では、NAS電池が455億円、リチウムイオン電池が620億円、レドックスフロー電池が135億円と予測。欧米、中国では、再生可能エネルギーの発電所が大規模化に伴って注目されつつある。米国では2012年にかけて大規模なプロジェクトが進み、レドックスフロー電池、リチウムイオン電池、鉛電池が導入され、各電池の技術的優位性や市場性を見極める上で、動向が注目される。

国内では東日本大震災以降、住宅用の設置量が大幅に伸びている。日本の実績のうち、56MWhはNAS電池が占めているが、今後はその他電池の普及も見込まれる。

住宅用のリチウムイオン電池に補助金の交付も始まるなど、新築を中心に市場の伸びが期待される。

電動自動車の量産効果でリチウムイオン電池価格が低下すれば、2025年以降、リチウムイオン電池が国内外で大きく構成比を伸ばす可能性がある。

地熱バイナリー発電市場は2011年が140億円だが、2020年に4270億円、2030年には4305億円を予測する。

80~150度で利用されるバイナリー型地熱発電は、地下資源の有効活用により環境負荷が低いことがメリット。世界の地熱発電の設備容量は2010年時点で1080万kWだが、2015年以降、飛躍的に増加すると見られる。米国、フィリピン、インドネシアが多く導入し、総発電量に占める地熱発電の割合ではアイスランドが30%、フィリピンが27%となる。

日本は地熱資源が豊富であるが、導入量は54万kWで、地熱バイナリー発電は2カ所で運転されている。 地熱バイナリー発電に取り組むメーカーはJFEエンジニアリング、富士電機、川崎重工業など。

《レスポンス編集部》

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