1952年に初代がデビューして以来、メルセデスベンツのフラッグシップ・オープン2シーターとして作り続けられているのが、『SLクラス』。
現行モデルは数えて6代目に当たり、日本では2012年に発表された。ラインアップは、306馬力の3.5リットルエンジンを積む「SL350ブルーエフィシェンシー」、435馬力の4.7リットルツインターボエンジンを積む「SL550ブルーエフィシェンシー」、537馬力の5.5リットルツインターボエンジンを積む「SL63AMG」で、このうち63AMG以外の2車種への試乗をおこなった。
最初に乗ったのは350。この時点ではパワーは十分という印象であった。306馬力のV6は発進加速はもちろん、追い越し加速でも十分なパワフルさを見せた。ところが550に乗り換えるとこれがさらにすごい。350で十分と感じていたパワフルさは消えてしまう。550の持つ435馬力というパワーはもはや官能的でもある。
ミッションは7Gトロニックプラス。シフトチェンジのレスポンスは俊敏で、マニュアルミッションの必要性を感じない。さらに7Gトロニックプラスは、全段フルロックアップなので、トルクを無駄なく駆動輪に伝える。加速だけでなく燃費面でも有利だ。
350、550のどちらにもアイドリングストップ機構が付き、燃費面は先代に比べて350が62%、550が44%アップというデータを持つ。
新型SLはオールアルミ製の新型モノコックを採用するが、このボディの剛性感が申し分のない高さ。しっかりしたボディに4輪マルチリンクサスを装備。さらに550に標準、350はAMGスポーツパッケージとしてアクティブボディコントロール(ABC)が装備される。
感心させられるのはランフラットタイヤを履きながら、それをまったく感じさせないこと。ABCをもっとも固いスポーツプラスにしてもそれは同じだ。
バリオルーフの開閉はスムーズで、ダイナミック。その動きそのものがエンターテイメントと言える。オープン状態での高速走行も電動ドラフトストップを使えば、風の巻き込みはほとんど抑えることができる。
350、550ともにエキサイティングだったニューSL。これは早く、AMGに乗り、その真価を確かめなければ…と感じた。
5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍。趣味は料理。