【新聞ウォッチ】崖っぷちルネサス、NECなどが1000億円“延命”融資

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2012年6月15日付

●.ルネサス工場を半減、人員削減、最大1万4000人(読売・1、8面)

●新型カローラ販売数目標の2倍1万5000台(読売・8面)

●スペイン国債7%突破利回り急上昇、危険水域に(毎日・1面)

●ドイツ3社、ファミリー層に照準、日本仕様5ドア車拡充(産経・11面)

●対日EPA「反対」欧州議会自動車輸入に警戒(産経・11面)

●日航、9月再上場、支援機構、出資金の2倍回収(日経・1面)

●ガソリン高騰が一服、10週下落、世界景気の減速映す(日経・3面)

●商用車部門の連携強化、VW、コスト年2億ユーロ削減(日経・7面)

●「ニスモ」ブランドの普及車、第一弾、欧州に投入、日産、来年初め(日経・11面)

●日野トラック売上高、海外が国内を逆転(日経・15面)

●ベアリング3社を提訴東京地検(日経・38面)

ひとくちコメント

崖っぷちの半導体大手ルネサスエレクトロニクスに対する経営支援の動きがにわかに慌ただしくなってきた。きょうの日経によると、主要株主のNECと日立製作所、三菱電機の3社が金融支援する方向で最終調整に入ったことを1面トップで報じている。読売も1面で経営再建に向けた合理化策として、国内19工場のうち半分以上を閉鎖または売却し、今後1~2年で7~9工場程度に減らす方針を固めたと取り上げている。

ルネサスに対する金融支援は三菱東京UFJ銀行など4行と合わせ、総額1000億円を融資。難航していた資金支援の枠組みが固まったことで、最大1万4000人の従業員削減と工場半減を柱とする再建策が動き出すことになる。トヨタ自動車やホンダなどを主要顧客に持ち、世界シェアが約3割と首位の自動車向け半導体「マイコン」に経営資源を集中。デジタル家電の制御などに使われるシステムLSI(大規模集積回路)事業からは基本的に撤退する方針という。

ルネサスといえば、東日本大震災で北関東地方などの工場が被災したため、半導体部品の供給が寸断され、自動車メーカーは生産停止に追い込まれるなどの大きな打撃を受けた。震災で傷ついた工場は、懸命な復旧で再開したものの、経営を支える屋台骨の立て直しまでは手が回らなかった。

金融支援や大規模なリストラ策が固まったことで経営危機は回避される見通しとなった。ただ、「今回の金融支援だけでは経営再建を果たせない。リストラで1000億円規模の損失が発生すると過小資本に陥る懸念がある」(日経)との指摘もある。ある程度の延命は施される見込みだが、リストラが完了するまでこの先も予断は許されない。

《福田俊之》

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