今年最初の公式合同テスト(3月5〜6日、鈴鹿)を迎えた、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン。終盤戦に予想される佐藤琢磨のスポット参戦をはじめ、今季は例年以上に話題豊富な状況でシーズンインしようとしている。
まず、琢磨のスポット参戦の時期だが、やはり本人も「インディのシーズン中は難しいと思います」と発言。9月15日に米国インディカー・シリーズが閉幕するまではそちらに専念し、Fニッポンには終盤戦の登場となるようだ。カレンダー的には9月22〜23日のシリーズ第6戦(宮城県・スポーツランドSUGO)からの参戦が可能。少なくとも11月3〜4日の最終第7戦鈴鹿に関しては「参戦確定ということでいいと思います」との旨を琢磨が話しているので、ここは確実と見ていい状況だ。できればSUGO戦から、というのがファンの期待だが、そのあたりは今後の調整次第となる。
琢磨は鈴鹿のレース学校「SRS-F」の出身として知られるが、奇しくも今年のFニッポンには1997年卒の“花の3期生・3羽ガラス”が復帰やスポット参戦のかたちで顔を揃えることに。2007、08年にFニッポン連覇王となった松田次生は、ここ2年ほどフル参戦の機会を逸していたが、古巣のインパルから今季完全復帰。そしてFニッポン優勝経験があり、琢磨がイギリスF3王者となった2001年にドイツF3王者となった経歴をもつ金石年弘も、HPリアル・レーシングからFニッポンに復帰。そこに琢磨が合流し、卒業直後の1998年全日本F3選手権開幕戦の鈴鹿以来、3人全員が同じフィールドに揃って競うこととなるのだ。これは今季のFニッポンの大きな見どころとなる。
金石は「昨日、琢磨くんとも『楽しみだね』っていう話をしましたよ。それぞれ違う道を通ってきて(の3人集合)ですからね」と夢の対決への期待感を語ってくれた。琢磨もこの話題には満面の笑顔で「14年ぶりかな?」と応え、楽しみにしていますと伝えると「ハイ」。実戦で笑うのは果たして誰か? 興味は尽きない。
松田が復帰し、2009年チャンピオンのロイック・デュバルもキグナススノコ・トヨタから自身2シーズンぶりの復帰。昨シーズン開幕時点では2010年王者のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(インパル・トヨタ)しかチャンピオン経験者がいない状況だったが、今季は松田、デュバル、オリベイラ、そして2011年王者アンドレ・ロッテラー(トムス・トヨタ)と、計5冠、直近4人の王者がすべて顔を合わせる構図となった。今年はF1でも6人のチャンピオンが戦うことが話題となっているが、日本の最高峰カテゴリーでも“チャンピオンそろい踏み”の状況が生まれたのだ。
よりいっそう密度を高めたハイレベルな接戦となることが予想されるFニッポン。4月14〜15日の開幕戦鈴鹿が、本当に楽しみだ。