金属部品を磨耗から守り、フリクションロスも軽減してくれる表面処理にも色々あるが、その最たるものと言われるのがDLC。グラファイト系の被膜は、文字通りダイヤモンド・ライク・カーボンとして、硬く摩耗に強いだけでなくフリクションも小さい。
ところが、オートモーティブワールド12でDLCを上回る表面処理を見つけてしまった。それがスライディングビーナスである。日本コーティングセンター(本社:神奈川県座間市)が開発した新技術で、同社はDLCと同等のアモルファスカーボン膜コーティングのスリックコートも展開している。
スライディングビーナスもDLCと同じ、プラズマによるイオンプレーティングでクロム系の被膜らしいが、被膜でコーティングする工程の前後に表面処理を必要とするため、DLCよりもコスト面ではまだまだ割高となってしまうそうだ。しかしDLCでは250度と言われる耐熱性は1100度と大幅に向上し、摩擦係数もさらに低減することから、厳しい環境でより高い効果を発揮してくれそう。
ブース内では黒っぽいDLCと銀色のスライディングビーナスをそれぞれコーティングした平板を傾けて、同じPE樹脂の塊の滑り具合の違いをアピールしていた。
エンジン内部のパーツに使えるようになれば、フリクションロスの飛躍的な改善につながるかも。更なる改良を期待したいところだ。