“ブランド力”とはこういうことだ。と改めて思う。アストンマーチン初のコンパクト、『シグネット』が、トヨタ『IQ』をベースにしたことはすでに承知の事実。しかしあのマスクを見ながらドアを開け、室内に広がるゴージャスな雰囲気はまさにアストンそのもの。単純にレザーに張り替えたのとは違うアストンのレザー色と薫り漂う独自の世界感。エンブレムの威力もあるとは思うが、長く乗れば乗るほどIQではなく、シグネットがまずは基本か、と錯覚すら起こす。じつは操縦性そのものはトヨタIQと大差ない。全長約3m、ホイールベースは2mと短いためドライバーは前後輪の中央に座る。ステア操作と“同時に曲がる”独特な操縦感覚が普通のセダンとの最大の違い。走行性能も同じだと思ったが、音と振動の伝わり方が明らかに抑え込まれている。つまりエンジン音や騒音が少ないという事で、それは遮音材の追加とエンジンマウントを硬くした効果だ。アクセル操作と同時に滑り感の少ない加速が効くCVTが一般的になるだろう。しかしiQにある6MTこそ鋭い加速が展開でき、アストンのイメージに合う気がする。■5つ星評価パッケージ:★★★★★インテリア:★★★★★ パワーソース:★★★フットワーク:★★★★お薦め:★★★★★桂伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー1982年より自動車雑誌編集部にてリポーター活動を開始。幼年期からの憧れだったレース活動を編集部時代に始め、「乗れて」「書ける」はもちろんのこと、読者の目線で見た誰にでもわかりやすいレポートを心掛けている。レーシングドライバーとしての戦績は、アストンマーティン・ワークスからニュルブルクリンク24時間レースに参戦。08年クラス優勝、09年クラス2位。10年は…!? レース直前にスポンサー絡みのドライバーに割り込まれて不参加。世知辛い世の中であります。
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