[大人の夏休み]震災を越えて走る…何もできない自分に腹が立つ

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2011年3月11日から、ちょうど130日目となる7月17日に、僕たちはツインリンクもてぎにいた。レースを見ることも大好きだが、自分でやる方がもっと好き。「走ることで何かできるのではないか?」と考え、集い、走った、2011年度版「大人の夏休み」である。

震災発生を受けて筑波サーキットで開催する予定だったレースを中止にしたという主催団体のアイドラーズ。直後から「カンパ」という名の募金活動を行ったりしながらも、毎年恒例であるツインリンクもてぎの12時間耐久レースを開催するか否か、最後まで悩んだという。

主催者が悩むくらいなのだから当たり前なのだろうが、当初、僕たちもアイドラーズ12時間耐久レースにエントリーすることを躊躇していた。「こんなことをやっている場合なのか?」と。僕たちが楽しむレースはいわゆるJAF公式戦とは違って、趣味の延長線にあるホビーレースである。もちろん僕たちはレースを生業とするドライバーではないし、得られるものは自己満足だけ。娯楽のためなら「やらない」という選択肢も有りだと思っていたからだ。

自称「僕」は自動車雑誌の世界で何十年も生かされてきた。クルマに関わる面白い出来事を見つけて、メディアを通じて読者の方に伝えていくのが仕事だ。そうした仕事を続けていくなかで、北から南に至るまでできた、たくさんの友達が自慢だ。

東日本大震災の発生以後、毎日テレビで見るニュース映像を見る度に辛かった。被災地や被災者の現実はもちろん胸に突き刺さったが、宮城県にいるレース友達の安否がリアルに心配だったからだ。数週間後、友達の生存確認ができた後も、今度は何もできない自分自身に腹が立ち、日に日に辛くなっていった。被災地を除く日本全国で、僕と同じような気持ちでいる人はきっと多いのだと思う。

ある日、発想を変えて「やる」ことで何かできるかもしれないと思いついた。早速、大阪と九州の友達にコンタクトをとる。皆が二つ返事で同調してくれた。レースカーはお付き合いのあるアルファロメオ江戸川からアルファ『145』をお借りして「AIOC・147」と共に2台体制で参戦することにした。昨年も同じクルマで12時間耐久レースにチャレンジした経験がある。

ただし、今年はテーマが違う。車名はアルファロメオ江戸川のユーザー主体のレーシングチーム=AIOCを冠に「東日本復興祈願145」と名付けた。もちろん、被災地である宮城県の友達にも声をかけ、できればチェッカーフラッグを受けて欲しいと嘆願した。

《編集部》

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