3月1日に開幕したジュネーブモーターショー。フィアットブースの隠し玉が、イタリアのカロッツェリア、ザガートが手がけたフィアット『500』のクーペコンセプト、『500クーペ・ザガート』だ。
ザガートは1919年、イタリア、ミラノに設立。航空機の機体開発から得た軽量設計ノウハウを生かし、1929年にアルファロメオ『6C 1750 GS』、1932年にアルファロメオ『8C 2300』など、数多くの名車を送り出してきた名門だ。アストンマーチンやマセラティとのコラボレーションも有名。1950年代には、フィアットやアバルトとの関係も深かった。
そんなザガートが、ハッチバックボディのフィアット500をクーペ化。ルーフの傾斜は後ろに向かって強められており、リアウィンドウも小型化された。ザガート伝統の2つのこぶ、「ダブルハンプ」がルーフに表現されているのも、ファンにとってはうれしいところだ。
500クーペ・ザガートのボディサイズは、全長3550×全幅1630×全高1490mm、ホイールベース2300mm。ベースとなった500に対して、全高は25mm低いだけだが、それ以上の視覚的効果を生み出している。
エンジンは、排気量900ccの2気筒ガソリン、「ツインエア」。最大出力105ps、最大トルク15.8kgmを発生する。CO2排出量は95g/kmと、環境性能は優秀だ。
ボディカラーは、3層コートのポップイエローで塗装。2+2の室内には、ブラックレザーシートを装備する。シートやステアリングホイールには、イエローがアクセントとして添えられた。
フィアットは同車の市販化について公表していないが、ライバルのMINIは、クーペなどさまざまな派生車種を投入する計画。この500クーペ・ザガート、500のバリエーション拡大のひとつとして、アリな気がする。