東北大学・原子分子材料科学高等研究機構の陳明偉教授の研究グループは、3次元ナノポーラス金属/酸化物ハイブリッド電極を用いた高性能電気化学キャパシタの開発に成功した。
高電力、高エネルギー貯蔵・供給に向けた次世代スーパーキャパシタとしての利用が見込まれている。
スーパーキャパシタ(電気二重層キャパシタ)は、優れたサイクル寿命を持った高電力供給元で、ボータブル機器からハイブリッド/電気自動車まで幅広く応用されている。だが、エネルギー密度は従来の電池や多くのアプリケーションで必要とされる値には及ばない。スーパーキャパシタ中の電極として、マンガン酸化物(MnO2)のような擬似容量金属酸化物を使うことが密度の向上には有効である一方、MnO2の電気伝導性の悪さにより充分な性能が出せなかった。
東北大学では、高性能スーパーキャパシタへの応用のための新規ナノポーラス金属/酸化物(Au/MnO2)ハイブリッド電極材料を開発した。このハイブリッド材料は、独立した3次元ナノポーラス金薄膜にナノ結晶MnO2を無電解めっきして得たもので、MnO2の電析量はめっき時間で制御が可能となる。
電気化学測定により、このハイブリッド電極材料は1160F/立方センチに及ぶ高い電力・エネルギー密度と、繰り返し使用に対する高い安定性を持つことが確認され、次世代のスーパーキャパシタの有望な候補になるとしている。
研究成果は2月20日発行の英国科学雑誌『ネイチャー・ナノテクノロジー』のオンライン速報版に掲載された。