2011年のオートサロンで、なにか重要なものを見落としているような気がした人はいなかっただろうか。近年、その盛況ぶりからトヨタ、ホンダ、日産とメーカーの出展が目立つようになってきたオートサロン。
トヨタと日産は「レクサス」と『GT-R』でスーパーカーの対決を見せてくれている。ホンダはエココンセプトを打ち出したブースながら、ホンダアクセスというオプションパーツ開発部門が空力実験カーが異彩を放っていた。スバルはSTIが国際ラリー、ニュルブルクリンク24時間耐久レース、SUPER GTをしっかりフォローしている。しかし、三菱がいないのだ。
三菱といえばモータースポーツの世界ではスバルのよきライバルとして活躍していたはずだ。2010年に業務を縮小したとはいえラリーアートという競技用パーツやスポーツパーツを開発、販売するチューニング会社を持っている。『i-MiEV』のラリーアートモデルなど期待していたのだが……。
もちろんメーカー系の出展がないだけで、会場では、ドレスアップカーやショップデモカーとして『ランサー』や『コルト』の展示を見かけたし、サスペンション、クラッチなどランサー向けのパーツを展示していたチューニングショップやアフターパーツメーカーも存在したが、その数は少なかったように思う。
三菱自動車広報に東京オートサロン不参加の理由を聞いてみたところ、「東京オートサロンは、もともとアフターマーケットやパーツ類がメインのイベントでした。三菱自動車としては、そのようなパーツを扱うメーカーではないので、参加を見送らせていただきました」との返事だ。
WRC撤退やラリーアートの業務縮小などを考えると、企業としてはやむを得ない決断であり、合理的な判断なのかもしれない。しかし、2010年の国内外のモータースポーツでは、三菱車がいまだに元気に活躍し、実績を残している。トルクフルな三菱のエンジンは初心者でも扱いやすく、頑丈なボディや駆動系もプライベータにとって重要なパフォーマンスのひとつとして評価も高い。ファンは待っている。