選ぶ人のマインドを象徴する、フィットHV と プリウス …松田秀士

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フィットHV と プリウス
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『フィットハイブリッド(HV)』のハイブリッドシステムはインサイトのモノをほぼそのまま移植している。これによって、約60kg軽量なフィットの方がインサイトに比べて走りは良い。

インサイトと同じく、基本的にエンジンがかかった状態で発進するから(アイドルストップしていても)、蹴り出しはモーターが先に駆動して後追いでエンジンが始動し駆動する『プリウス』に比べてスムーズで心地良い走り出しだ。

ただ、プリウスのモーター駆動らしい静かで力のある発進加速→エンジンが加わるという個性的な走りもハイブリッドらしく、“特別なクルマに乗っている”という味わいがある。ハイブリッドでありながら普通のクルマチックなフィットHVと、いかにも未来っぽい癖のある加速感のプリウスという対比ができるだろう。

これは、そのまま選ぶ人のマインドを象徴しているのではないだろうか。つまり、新しいもの好きな日本人VS古風な歴史と倫理を重んじる日本人という風に。前者がトヨタで後者がホンダという構図に世の移り変わりを感じてしまうが。

フィットに関してもう少し掘り下げて言うなら、他の非ハイブリッドモデルの進化は著しいがフィットHV自体の出来はもう少しといったところ。それは主にボディーコントロール。低速で荒れた路面を通過する際にボディーのバイブレーションがやや大きく、作りのガサツさを感じさせられる。

おそらく、前後重量配分と重量の変化によって起きているものだろう。このあたりがプリウスよりも格下の車格であることを強く感じさせる。ただし、下駄感覚で近所の買い物にもチョイ乗りがしやすいのはコンパクトなフィットHV。社会はそういうハイブリッドを望んでいたはずで、ガソリンエンジンが苦手な低回転域を補いつつしっかりとした加速力を持つフィットHVの存在意義はとても大きい。

一つ注文があるとすれば、より大きく重いインサイトとほぼ同じ燃費では買い得感が薄く、この点を早く改善すべきだろう。

《松田秀士》

松田秀士

成仏する直前まで元気でクルマを運転できる自分でいたい。「お浄土までぶっ飛ばせ!」をモットーに、スローエイジングという独自の健康法を実践する。これまでにINDY500に4度出場し、ルマンを含む世界4大24時間レース全てに出場経験を持つ。メカニズムにも強く、レースカーのセットアップや一般車の解析などを得意とする。専門誌等への寄稿文は分かりやすさと臨場感を伝えることを心がけている。

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