【イクリプス AVN Lite AVN110M インプレ】ナビ・AVの機能充実でも分かりやすさは健在

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方面看板表示に新たに対応
  • 方面看板表示に新たに対応
  • 5ルート表示
  • AVN Lite AVN110M
  • AV機能の操作メニューも表示
  • 高速道路走行時の画面
  • 目的地の履歴
  • 目的地検索メニューはシンプル。使用頻度の高い50音と住所は大きいボタン
  • 経由地設定は新たに追加された機能だ

富士通テン イクリプス『AVN Lite」は、同社製カーナビの中ではエントリークラスのモデルとなる。また、市販向けAV一体型ナビ(AVN)として最もリーズナブルな価格帯の商品でもある。

◆思い切った割り切りが功を奏した初代モデル

初代モデル『AVN118M』のデビューは2008年。当時といえば、PNDの販売が急速に伸び始めた頃。AVN LiteはPNDのシェア拡大に対して、機能を絞り10万円前後のプライスタグを付けることで、PND購入検討層を強く意識して企画された製品だったといえる。7インチサイズの画面はAV一体機と同等のサイズだったが、操作性を重視した大きなアイコンや、シンプルな操作画面などは、画面サイズの拡大に限度があったPNDに対する優位点と言えた。

AVN118Mは、その機能の割り切りが徹底していた。メディア再生機能はCDおよびCD-Rのみとし、iPodには別売りケーブルで対応、検索・地図データを収録したSDHCカードの容量は4GB、そして目的地検索は経由地なしの1箇所のみ、という具合だ。ナビの情報に日々触れている記者たちからしてみれば“やりすぎ”とも思えたシンプルさは、結果的に今までカーナビに興味を示さなかった層を見事捉えることに成功、発売以来25万台を売り上げる大ヒット作となった。

このAVN118Mのヒットを受け、2010年秋にフルモデルチェンジを果たした新世代のAVN Lite『AVN110M』はどうか。PNDも高機能化・大画面化が著しく進み、スマートフォンのナビアプリも登場して、ナビゲーションの世界は百花繚乱だ。プライスリーダーとしてAVN市場を牽引してきたイクリプスが次の一手をどう打ってくるかは大変興味深い。

◆視認性でトップクラスを行く“カンタンナビ”

このレポートでは、従来モデルからの変更点を中心に見てみよう。

まず、液晶モニターが一新された。サイズは7型で変化はないが、解像度がEGAからWQVGAに高精細化、バックライトは輝度の高い白色LEDに置き換えられた。さらには地図データのサプライヤーもゼンリンからインクリメントPに変わるなど、地図の見やすさという点でハッキリ・クッキリな地図描写へと変化している。

実際に車内で利用していると誇張でもなんでもなく、格段に見やすくなった。地名表示のフォントは大きめで、非常にわかりやすくていいのだ。AVN110Mを使ってみて、即座に気に入ったのがこの良好な視認性だった。また、コンビニエンスストアやガソリンスタンド等の施設をアイコン表示させたり、方面案内看板を表示させたりすることも可能となっている。

◆経由地設定も“分かりやすさ重視”

地図以外にもイクリプス『AVN 110M』には大きく変化した機能がある。5か所までの経由地が設定できるようになったことだ。他のナビでは当たり前の機能である経由地設定が従来の「AVN Lite」ではできなかった。だからこそ、これができるようになったことには大きな意義がある。

経由地の設定は非常に簡単で、通常の目的地設定と同じように行うだけ。立ち寄り順の入れ替えもシームレスに行える。ルート設定も一気にやってくれるので、友人宅に立ち寄りながら旅行に出かけるといったシチュエーションでも困らなくなった。

複数ルートの検索にも対応するが、作成されるルートは幹線道をゆく一般的なもの。「こんなルートを行くのか」と驚かされるようなものではないが、エントリークラスとしては十分といえる。ルート探索に要する待ち時間も非常に短い。

渋滞情報については、AVN110MでFM-VICS専用のチューナーを新搭載しており、NHK-FM以外のFM局を選局していてもFM-VICS情報の受信が可能になった。

そして市街図にも新たに対応した。ダウンロードによる購入というオプション扱いではあるが、4200円というリーズナブルな価格での提供を予定しているという。8GBに倍増したSDHCはこの市街図を収録するためでもあったわけだ。とくに住所などピンポイントでの案内では、詳細な地図があるに越したことはない。ぜひ利用したいオプションだ。

◆AVはCD/USB/iPod/ワンセグの主要4メディアで対応

AV機能も必要十分なレベル。AVN110MはCDのみが再生可能なドライブを搭載しているため、DVDビデオの再生には対応しない。ただし、一般的な音楽CDだけでなく、別売りのUSB接続コードを接続することでUSBメモリに保存されているMP3やWMA形式の音楽ファイルの再生も可能。また、iPod接続ケーブルも別売りで対応している。

USBメモリやiPodなどのデジタルオーディオの普及により、CDをカーナビにリッピングすることも激減した今では、オーディオ機能はAM/FMに加えてCD再生機能と別売りケーブルによるデジタルオーディオ対応で十分と言える。この他、簡易タイムアラインメントやイコライザ(EQ)も搭載、細かい部分ではあるが、ナビ・オーディオ一体機としての機能も着実に向上させている。

また、テレビはワンセグのみの対応となり、電子番組表や字幕表示にも対応している。AVN110Mでは新たに外部映像入力端子が備わっており、車載DVDプレーヤーなどからの映像表示がおこなえる所も新しい。

◆“キープコンセプト”だが、中身は大変化

総じて、大ヒット作のあとを受けて登場したAVN110Mは従来型のキープコンセプトと言える。キープコンセプトというと、変化があまりないと思われがちだが、“キープ”しているのは「シンプルさ」や「分かりやすさ」という“コンセプト”の部分だ。モニターやメモリ、VICS用FMチューナーの増設、地図のサプライヤ変更といった主要部分が大きく刷新され、ハードウェアや地図といった部分ではかなり手が入っている。力作と呼ぶに値する出来と言える。

他社が入り込もうとして入り込めなかった低価格AVNのマーケットでシェアを伸ばしてきたイクリプスは、このAVN110Mでその確固たるものにする狙いだ。

《石田真一》

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