ソニエリ XperiaでAndroid版カーナビ「全力案内!ナビ」を試す

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“Android(アンドロイド)”向けの徒歩&カーナビゲーションアプリ『全力案内!ナビ』をソニーエリクソンの『Xperia』でテストした。カーナビとしての使い心地と実用性をレポートする。

◆キャリアをまたいでアプリ提供

全力案内!ナビは、7月22日より発売されたAndroid端末向けのナビアプリ。現状の対応端末は『Xperia(SO-01B)』(NTTドコモ)、『HTC Desire(X06HT)』(ソフトバンクモバイル)、そして『IS-01』(au)でOSは国内版では最新のAndroid2.1でも利用が可能だ。

発売時は「Android マーケット」でのみの販売だったが、8月6日からは「ドコモマーケット」での購入が可能になっている。価格は980円で利用期間は半年だ。

全力案内!ナビといえば、iPhone向けのApp Storeでは上位の常連で、いわば定番のナビアプリ。精度の高いプローブ交通情報(UTIS)やiPhoneのユーザーインタフェースに準拠した分かりやすい操作性、そして年間利用料900円という強力なコストパフォーマンスで人気を博している。6月におこなわれたバージョンアップにより、多彩なオプション機能等も追加されて、本格ナビゲーションとしての機能がさらにアップしている。

今回テストしたのはAndroid版ということで、日本で提供される同プラットフォームとしては初の本格リアルタイムカーナビアプリケーションということになる。すでに提供しているiPhone版やケータイ版とはどう異なるのかも興味深い。なお、本アプリはiPhone向けなどと同様に地図や地点データをローカルに保存せず、すべて通信でおこなうクラウドサービスだ。


◆全力案内!ナビのエッセンスを凝縮

まず、ユーザーインターフェース(UI)はケータイ版ともiPhone版とも異なる仕様で、基本メニューは検索ボックスの下に「地図」「目的地検索」「Myルート」「設定」の4つが配置されているだけ。しかも、目的地検索メニューをタッチすると、もはやジャンル検索すら存在せず、検索ボックスとMy地点とMy履歴しかない。全ては検索から、という割り切った発想だ。このフリーワード検索、施設名称のみならず電話番号や郵便番号も入力可能で、検索結果もほとんど待たされることなく表示する。このレスポンスの良さはXperiaのハードウェア性能と、ドコモ回線の安定性が多少ならずとも貢献しているように思われる。

目的地検索に際しての問題をひとつあげるとすれば、正確に押したつもりでも文字入力の押し間違えが頻発すること。記者はiPhone版全力案内!ナビも利用しているが、文字入力が苦と思ったことはなかった。キャリブレーションしても操作性は変わらなかったのでXperiaのタッチパネル特性が原因と思うが、特に画面両端近くのボタンで押し間違いが多いのが気になった。


◆交差点読み上げ機能もある音声ガイダンス

目的地さえ決めてしまえば、あとは通常のカーナビと同様だ。地図でのルート確認も可能で、タクシー利用時の概算料金や、プローブ渋滞情報を考慮した到着予想時間も表示される。目的地を決定後、「ルートを地図で確認する」をタッチすれば、どの交差点で曲がればいいかが地図上に表示する機能があるが、これがあると出発前にルートをイメージできるのでかなり有用だ。

なお、目的地検索ではフリーワード検索が基本になっていると述べたが、ジャンル検索がまったくないわけではない。地図メニューから任意の地点をタッチしてサブメニューを呼び出すと現れる周辺検索メニューからは、特定のジャンルに絞っての検索が利用できる。

それでは使ってみよう。Android版の特徴をひと言で言えば、ケータイやiPhoneなどマルチプラットフォームで展開する「全力案内!」シリーズのエッセンスが凝縮されている、ということだ。全力案内!のエッセンスとは何かというと、「高速レスポンス」と「プローブ交通情報(UTIS)」との2点に集約される。

高速レスポンスについては、先に挙げたハードウェア性能と回線スピードに加えて、全力案内!ナビがもつ地図データそのものの軽さがこの速さを生み出している。とくに地図スクロールは快適そのもので、地図の拡縮も自在。iPhone版やケータイ版も十分高速だが、Xperiaのスピード感はそれらをしのぐ。ローカルに地図を持つアプリと比べても遜色ないレベルだろう。

ガイダンスは一般的なカーナビと同水準だ。交差点やICなどの立体的な拡大イラストこそないが、交差点に近づくと自動的に2画面になり、拡大地図が右側に表示される。さらに、主要交差点の音声読み上げや先の合流ポイントを知らせる機能もあり、安全運転支援という面でも実用性は高い。とくに交差点の音声読み上げはPNDタイプのナビではフォローしていないことが多い。土地勘のない出先でのドライブでは非常にありがたい機能と言える。


◆空き道表示にも対応するプローブ

全力案内!ナビを象徴するもうひとつの特徴が、プローブ交通情報(UTIS:ユビークリンク交通情報)。iPhone版では先のバージョンアップでオプション扱いになったが、Android版では標準アプリでプローブ情報が利用可能。その渋滞回避能力は強力だ。渋滞は赤、混雑はオレンジ、順調は水色で地図上に重ねて表示されるので、どの道が混んでいてどの道が空いているかは一目瞭然。もちろん、ルート案内中に道路状況に変化があれば随時リルートをして最速ルートを引き直してくれる。

Android版でもここまで交通情報が充実しているとなると、やはりVICSのように都市高速や主要道の簡易渋滞マップ、あるいは渋滞予測みたいな機能も欲しくなる。とくにお盆や秋の行楽シーズンなどは、渋滞を避けるために出発時間を調整したいと考えることも多いはずだ。Android版ではiPhoneのようなオプション課金決済がシステム上難しいということで、これらの機能充実は本体アプリそのもので対応することになる可能性が高そうだ。

なお今回テストしたXperia SO-01Bには加速度センサーに加え地軸センサーも搭載されているが、全力案内!ナビでは自車位置検出にこれらのセンサー類を利用している形跡は見受けられなかった。したがって、トンネルに入ると測位が一旦止まってしまうし、高架下やビルの谷間などGPS電波が良くないところでは若干、自車位置がずれることもあった。ただし、これも一般的なケータイナビと同等であって、PNDに著しく劣ると言うことはない。

とはいっても自車位置精度はケータイナビのネガのひとつ。スマートフォンナビの利用拡大のためには、この点をブレークスルーする必要がありそうだ。


◆メモリーカード不要のPC連携

最後に、PC連携についても触れておこう。全力案内!ナビでは、スマートフォン上で登録した地点やルートをPC上でも閲覧・管理が可能になっている。スマートフォンでログイン名とパスワードを設定し、全力案内!のウェブサイトでログインするだけだ。

また、全力案内!ナビではGPSログの軌跡もPC上で閲覧できる。PNDやケータイナビにも移動軌跡をPCで見られるものもあるが、メモリーカードを介して、というケースが多かった。全力案内!ナビでは、いちいち端末からメモリーカードを取り出してPCに挿す、という手間もなく、マイページにログインすれば即GPSログを確認できる。

ただ軌跡の取得間隔が長く、おおざっぱな印象を受けたことも確か。移動速度や高度、緯度経度まで出るGPSロガー的な使い方はできない。また、このようなGPSログを旅の記録にしている人のなかには「Google Earth」や「カシミール」などと連携して利用したい、と考える向きも多いはずだ。細かい要望かも知れないが、可能ならばKMLやGPXといった汎用的なフォーマットへの出力機能があっても良いように思われた。


◆Andriodカーナビのベンチマーク

このように、高速レスポンスとプローブ交通情報を武器にした全力案内!ナビは、その実用性という側面ではAV一体型に遜色ないどころか、非通信ナビに対しては大きなアドバンテージがあることが確認できた。

北米のスマートフォン販売シェアではAndroidがiPhoneを追い抜いたというニュースがつい先日飛び込んできたが、日本においてもAndroidがiPhoneと並ぶスマートフォンの2大プラットフォームとして拡大していくことは確実だ。そしてアプリデベロッパーにとっては、キャリアの枠にとらわれなくて済むというメリットがAndroidへの傾斜を強めていく要因にもなるだろう。ということは、今後この地図/ナビ系カテゴリーに参入する業者が増えてくることも容易に想像できる。

おそらく地図会社系から登場するアプリは地図情報の充実度やPOIの鮮度を武器に売り込んでくだろうし、非地図会社系は口コミ情報やコンテンツを網羅して勝負を挑んでくるはずだ。地図会社ではないユビークリンクにとっては、スマートフォンアプリをつくり慣れているという点でレスポンスやUI設計には一日の長があるだろうし、何よりもプローブ交通情報は強力なデータセンターを擁する野村総研グループならではの強みを活かしており、これも他社には真似できない武器であるということは上述の通りだ。

カーナビは多機能を追求すればキリがない。しかしユーザーに要求される全てを網羅していては開発はいつまで経っても終わらないし、工数だけでなくデータベースの整備・購入に莫大なコストがかさんでしまう。

住所検索やジャンル検索といった“階層を掘っていく”形式の目的地検索をなくしフリーワード検索一本だけに絞る(もちろん実用性を十分に担保した上で)など、割り切った設計の背景には開発コストの圧縮や工数の削減といった狙いもあるはずだ。そのおかげで、他社に先駆けてAndroidカーナビをいち早く実現させたインパクトは大きい。

機能面にしても価格面にしても、今後の参入業者にとって、“Androidカーナビ”のベンチマークとして全力案内!ナビが位置づけられることになるのは間違いない。


《北島友和》

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