独特な「NAGAREライン」は、量産車でよくぞここまで!といった力作。フロントマスクを含め、見慣れれば馴染んでいくのが、異様にアバンギャルドな『ビアンテ』との違いか。
空力的に理にかなったルーフラインと前傾したベルトラインの絶妙なバランスも、走り感のあるルックスを造り出している。インテリアも、とんがり帽子状のメーターフードが目につくものの(“センター”を表現したい気持ちはわかるが)、加飾はむしろ控えめなほどで、プレーンな道具感が心地いい。メーターもシンプルな盤面が見やすく好ましい。
シートもとくに1列目と2列目の座面が、身体を自然に受け止める形状と座り心地で秀逸。3列目は緊急+αレベル だ。
走りはこだわって開発されただけあり、すべての“所作”が自然でなめらかなのがいい。ステアリングも穏やかで、山岳路でも安心して道をトレースできる。
2リットルエンジンのパワー感も問題なし。ベーシックな15インチタイヤ装着車の “普通さ”も悪くなく、手頃で良質なミニバンとしてオススメできる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年より『GOLD CARトップ・ニューカー速報』の取材/執筆を皮切りにフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。