スバル『インプレッサXV』は、クロスオーバーモデルながら、車高に関してはベースの5ドアと同等(全高が高くなっているのはルーフレールの装着によるものだ)。XV専用のサスペンションを用意したにもかかわらず、である。その理由を、商品企画本部でXVに深く関わった野尻隆司主査に尋ねてみた。
「まず、オフロードを走る機会が少ないことです。欧州などでもクロスオーバー系のクルマが流行していますが、どれもシティ派クロスオーバーですよね。」
「それから、アメリカには『インプレッサ・アウトバックスポーツ』というモデルがあるのですが、そのユーザーを調べた結果、車高を上げないほうが都合がいいと分かったんです。」(野尻氏)
調査結果によると、「インプレッサアウトバックスポーツ」のユーザー層の多くは自転車やカヌーなどを楽しむアウトドアスポーツ愛好家で、天井に荷物(自転車やカヌー)を積む人たち。「背の高いSUVやクロスオーバーでは屋根に荷物を積みにくい」としてインプレッサを重宝がっているのだそうだ。
「だから、必要のない車高アップは必要ないと判断しました。車高を上げると走行安定性も空気抵抗も悪化しますしね。そして、車高を上げるのではなく屋根に荷物を載せてもふらつかないような足回りすることを考え、きっちりとチューニングしました。」(野尻氏)
不必要な悪路走行性能よりも、使い勝手のほうが大切。それが、インプレッサXVの考え方なのである。「クロスオーバーだから車高を上げるのは当然」という考え方は、どうやら考え改める必要がありそうだ。