今年で第3回目となる東京コンクール・デレガンスが、7月22日よりお台場の東京都立潮風公園で開催される。自動車コンクールとはどのような背景を持つイベントなのか、また、自動車コンクールを東京で開催する意義は。運営委員長のコメントを交えて紹介する。
◆ヒストリックカーの品評会だが、東京は“開かれている”ところに特徴あり
今年で第3回目となる東京コンクール・デレガンスが、7月22日(木)〜25日(日)、お台場の東京都立潮風公園(東京都品川区)で開催される。コンクール・デレガンスとは、貴重なクラシックカーが一堂に会し、その美しさやオリジナル性の高さ、時代考証の確かさなどを競うイベントだ。海外では1929年に始まったイタリアの「ヴィラ・デステ」、1950年に始まった米国カリフォルニアの「ペブルビーチ」が有名だ。
コンクール・デレガンスが欧米で盛んなのは、言うまでもなく自動車が「文化」として根付いているからだ。特に自動車産業の草創期において欧米で作られた超高級車の数々、あるいはレーシングカーやスポーツカーの一群は優れた美術品と同様に扱われている。
これに比べて東京はまだ日の浅いイベントだが、関係者はこれを日本独自のコンクール・デレガンスとして育てていこうと考えている。それを象徴するのが東京という都市のど真ん中を会場としていることだ。
大会運営委員長を務めるネコ・パブリッシングの笹本健次氏は開催地選定理由について、「海に面した抜群の景観ながら、都心からも近く、交通の便がよいエリアということで選定しました。海と空の青、芝生の緑に彩られた名車の数々は、きっとみなさんのいい思い出になるはずです」と説明する。
ヴィラ・デステ(コモ湖畔)やペブルビーチ(ゴルフコースで有名)はいずれも郊外の高級リゾート地が会場であり、集まるのは富豪やセレブリティが主で、入場料も高価だ。これに対して今回の東京は、昨夏「ガンダム」で湧いたお台場の潮風公園が舞台。入場も無料で、一般参加者の投票によって選ばれる独自の賞もあるなど“開かれた”イベントとなっている。
「ヴィラ・デステやぺブルビーチといった、世界的にポピュラーなイベントの多くは、一般の方々にはなかなか実物をご覧いただく機会がありません。自動車先進国といわれている日本ですが、欧米と比較すると、自動車という存在を真に身近に感じられていない一面もあります。文化的、歴史的な側面から自動車を見ていただくことで、さらにその理解を深められるのではないでしょうか」(笹本氏)。
◆真の目的は、自動車が持つ魅力の再発見
もちろん東京コンクール・デレガンスに出品されるクラシックカーは、極めて貴重なものばかり。その多くが一品物、あるいは少量生産車であり、当時の高級車メーカーや名門カロッツェリア(自動車工房)がハンドメイドで作り上げたものだ。自動車の歴史書や写真集で見たことはあっても、実車を見ることはまずない「走る美術品」と言える。
「本イベントは、自動車の歴史や芸術性などにフォーカスをあてることで、利便性だけではない自動車のおもしろさ、美しさなどを感じていただくことが目的です。回数を重ねることで、微力ながら日本の自動車文化発展に寄与することができればと考えています」(笹本氏)
こうしたクルマを博物館やガレージの奧にしまいこむのではなく、人々の目に触れさせることで、その価値を再発見し、再び新しい物を生み出す。それがコンクール・デレガンスの真の目的と言えるだろう。実際、ヴィラ・デステやペブルビーチでは、現代の自動車メーカーやカロッツェリアがワールドプレミアとなるコンセプトカーを発表することが多い。そして今回のイベントテーマに“自動車の現在・過去・未来”を掲げた東京にも、いくつかの最新モデルが海外から持ち込まれる。自動車の未来に明確なビジョンが描けない今の日本において、東京コンクール・デレガンスは何かを発見する場となるはずだ。
「今回は本当に貴重な約50台のクルマを、どなたにも無料でご覧いただけることになりました。普段は博物館でしか見られないようなクルマたちを、ぜひ美しい景色の中で楽しんでください。また、古いクルマばかりでなく、発表されたばかりのクルマや最新のエコカーなどもありますので、来週末はぜひ潮風公園にお越しください」(笹本氏)。
●会期:2010年7月22日(木)〜25日(日)
一般公開は23日(金)〜
●会場:東京都立潮風公園(品川区東八潮)
●入場料:無料