オリンピックを経験した甲斐あってか、以前に比べるとずっとスマートになった北京モーターショーの運営。しかし、まだまだ先進国のモーターショーに比べると雑な部分も目に付いた。
まずは、会場周辺の大渋滞。来場者が少ないはずのプレスデーですら朝夕ともに会場周辺の渋滞が激しく、とにかく会場へ通うのに時間が掛かる。バス以外の公共交通機関がないのも大きな理由だが、一部のバス乗り場を除いて送迎者の発着場所がないのが大問題だ。発着場所がないから送迎車両やタクシーの乗り降りは会場入り口付近の道路上でおこなわれ、通行を大きく妨げている。これは、早急に改善すべきだ。
また、会場内を歩いていると気になるのが段差。廊下との間に大きな段差があるブースもあり(さすがに日系メーカーのブースにはなかった)、資料を入れるためにキャスター付きケースを引き摺りながら会場内を移動するプレス陣からは大不評。プレスに対して都合が悪いだけならまだいいが、車椅子やベビーカーにとっても邪魔だし、子供はもちろん大人だってつまずく可能性があるから危険である。
ホスピタリティ面から言えば、ぜひとも改善して欲しいのは食事事情。絶対的な数が少なく、プレスデーでもキャパシティ不足が明らかだった。
“安心できる”マクドナルドやサブウェイは大行列で、とても並ぶ気にはなれず。試しにお弁当を買ってみたところ、25元(約350円)と高価にもかかわらず、お腹がすいているのに箸が進まなかった。ビール飲み放題で100元(約1400円)というビュッフェもあったが、入った人によると「価格に見合った内容ではない」とのこと。ちなみに記者は、歩き回って疲れているにもかかわらず、2日目はランチを食べるのを諦めた。
とはいえ文句ばかり言っていても仕方がないので、最後にいい話をひとつ。
記者はプレスデー初日に、プレスルーム(取材関係者が原稿作成などの仕事をする場所)にパソコンのACアダプターを忘れて帰ってしまった。そして翌日、そのACアダプターは無事に手元へ戻ってきた。日本では当然のことのように思えるが、「忘れ物が手元に戻ってくるなんて考えられない」という中国ではきわめてラッキーなことらしい。
そして驚くのは、プレスルーム担当の女性の仕事ぶり。ACアダプターを無くしたことを告げると「探してみるわ。見つかったら電話するわ」と記者に携帯電話番号を訪ね、見つけると本当に電話をしてきてくれたのである。
記者の電話は、とうぜん中国国内用ではなく日本の携帯電話。わざわざ日本経由の国際電話をかけてくれたのだ。20代前半とおぼしき受付の女性が機転を利かせてくれたようだが、そのサービス精神は妙にうれしかった。