発売後、1か月で1万台の受注を記録した、人気のハイブリッドスポーツ、ホンダ『CR-Z』。注目は、ハイブリッドとしては初めて6速MTが用意されていることだろう。そのMT仕様は現在、受注の4割を占めるというから、相当な人気ぶりだ。
ドライバーが意のままに操れるダイレクト感が魅力の6速MTだが、そのスポーツ性だけが利点ではない。駆動損失の少なさでATやCVTを大きく上回るMTは、実は省燃費性も高いのだ。
そうは言ってもCR-Zの場合、10・15モード燃費はCVTが25km/リットル、MTでは22.5km/リットルと1割ほど燃費が悪い。だが、これには裏がある。
10・15モードでCVTの方が燃費が優れているのは、MTの場合、測定基準で定められたパターンでシフト操作をしているからで、インパネ内にあるシフトインジケーターの指示通りにシフト操作をすると、10・15モードと同じ走行パターンでもCVTと同等の燃費になるらしい。つまり、運転次第ではCVTを上回る燃費を記録することも可能なのである。
ちなみにスポーツモードを選ぶとMTの場合、スロットルの応答性が高まるだけでなく、CVTのようにギア比こそ変わらないが、その代わりにモーターのアシストを増やす(ただしピークパワーは変わらない)ことで加速性能を高めてくれる。
高い走行性能とダイレクト感。そんなMTの楽しさを犠牲にすることなく、省燃費性も追求できるのがCR-Zなのである。