トヨタ、サンディエゴでの プリウス 急加速事故に反証

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プリウス。問題の車と同型車
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米トヨタ自動車販売は15日、カリフォルニア州サンディエゴで記者会見を行い、同地で「急加速事故」起こしたとされていた『プリウス』の調査を行った結果、同車両から急加速の原因が発見されなかったと発表した。

車両調査はNHTSA(米道路交通安全局)調査員と米議会のスタッフ立会いの下、3月10日と11日の2日間にわたって行なわれた。その結果、同車両からは急加速、及び停止不能の原因は検出されず、最終報告には達していないとしながらも、ドライバーの報告は分析結果と強く矛盾する徴候があることも示唆された。

トヨタによる検査の他、NHTSAも独自の調査も行っており、必要に応じ追加検証も行なわれる可能性はあるが、この件については米国内でも当初より発生経緯、状況の矛盾が指摘されていた。

「急加速事故」とは8日、サンディエゴ市のフリーウェイ8号線を走行中のジェームス・サイクス氏が、運転する2008年型プリウスのアクセルが戻らなくなりコントロール不能に陥ったと「911」に緊急通報。「911」のオペレーターがサイクス氏にギアをニュートラルに入れ、エンジンスイッチを切るように指示をし、さらには直後に出動したハイウェイパトロールが並走してブレーキを強く踏むように指示したのち、安全に停止したという案件だ。

発表によると、トヨタの技術者は該当車のデータをダウンロードし分析し、静電気やすべての相対的な構成要素を大規模かつ徹底的にテスト点検。さらには緊急通報の記録からトラブルの発生した運転時間とルートを算出し、報告された走行ルートでの実走行検証も行ったと言う。報告された検証結果は以下の通りだ。

●アクセルペダルを検証した結果、機械的な抵抗や引っ掛かりは見つからなかった。なお、プリウスのアクセルペダルはリコール対象となっているCTS社製のものではない。

●フロントブレーキにオーバーヒートによる摩耗と損傷が見られたが、リアブレーキ及びパーキングブレーキは問題なく正常に作動した。

●フロアマットは(不慮の急加速の原因となったものではなく)適正なものが装着されていた。取り付け金具で固定されてはいなかったが、アクセルペダルと干渉することはなかった。

●プッシュボタン式のエンジンスタートボタンは正常に作動し、緊急通報時にオペレーターが伝えた方法「3秒間押し続ける」ことでエンジン停止出来た。

●シフトレバーの動作も正常で、ニュートラルへの切り替えもでき、切り替えた際にはニュートラルの表示も視見できた。

●コンピュータ診断によるトラブルコードは検出されず、ダッシュボード上の故障を示すインジケータライトが点灯した形跡もなかった。ハイブリッドの自己診断システムは、アクセルとブレーキの度重なる踏み込みを確認した。

●各部の調査後、摩耗したフロントブレーキパッドを新品に交換したところ、正常な制動力を発揮した。

●テスト実施時、ブレーキを頻繁に使いオーバーヒート気味になったが、問題なく車両を停止することができた。

検証結果の報告ととともに、プリウスのブレーキは油圧と回生ブレーキ双方を用いており、アクセル開度が50%以上でブレーキペダルを踏んだ場合、エンジン出力をカットする「ブレーキオーバーライド」が装備されていることから、ブレーキペダルを軽く踏んだ状態で高速走行を続けることは困難であることが説明され、基本的な車両設計上、ブレーキで車両を停止できなかったと断定することは、調査結果から基本的に矛盾するとの見解を示した。

《ケニー中嶋》

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