スズキは16日、都内のホテルで新型『アルト』の発表会を行った。その記者会見の席上、鈴木修会長兼社長はアルトについて「私にとって、大変印象深いモデル」と話し、しみじみと続けた。
「私は78年に社長に就任して、その年に(初代アルト)を発売する予定だったが、もう一度見直そうと1年遅らせた」
そして発売の際、新しいアイデアを3つ盛り込んだ。まず、その当時、輸送価格をクルマの価格に上乗せしていたのを業界で初めて全国統一価格にした。2つ目が50万円を切るという低価格を実現した。3つ目があえて荷客兼用車とし、モデルを1つに統一して生産効率を上げた。クルマのカラーも白と赤の2色だけにした。
その結果、非常に人気を博し、すぐさま工場の増設に取り掛かったというエピソードが残っている。30年経った現在、販売台数は1000万台を超えた。アルトは「スズキが自動車産業に参入するきっかけをつくってくれたクルマ」。鈴木会長がアルトに対し、特別の思いを抱くのは当然かもしれない。