軽自動車という小型四人乗りの強力なライバルがいる日本で、どこまで奮闘するかと期待された『iQ』だが、現在のところ予想通り苦戦中である。苦戦の理由のひとつは3気筒エンジンにあると思っていたが、それを受けて1.3リットル・4気筒が搭載された。
3気筒の弱点は、(1)音が安っぽい。(2)加速がいまいち。そして(3)40km/hくらいでの、こもり音である。特に(3)は、街乗りを得意とするこのクルマにおいては、致命的だろう。まあ、ガサツな男性軍は知りませんけどね、違和感に敏感な女子は気になってたまりませんことよ。
でも、1.3リットルの4気筒は、上記ポイントをすべてクリア。音質も走りも軽快になり、低速でのこもりもなし。ドアの開閉も、内側のドアポケットをひとつふやして女性でもしやすくなったし、結構、細かな配慮もちらほらと。なんだかなあ。こっちを先に出しておけばよかったのにと、思わないこともない。
かくなるうえは、とっととハイブリッド化か、電気ユニット搭載して、この小ささをもっと享受できる仕様をつくること。いまはまだ、このコンパクトな良さを、伝えきれていないもどかしさが、なんともなのである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト
1962年横浜市出身。いま一番購買力があるとされるアラフィー世代を代弁する軽妙な論調に定評あり。交通安全啓蒙に力を注ぐほか、子供たちに命の大切さを伝えるノンフィクション作家としても活動。近著に『ハチ公物語 - 待ちつづけた犬 -』(講談社青い鳥文庫)。