【COTY09-10 選考コメント】キーワードは「正常進化」…竹岡圭

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大賞:トヨタ・プリウス
  • 大賞:トヨタ・プリウス
  • 大賞:トヨタ プリウス(東京モーターショー09)
  • ホンダ インサイト(東京モーターショー09)

今年で30周年を迎える日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのは『プリウス』。昨年に引き続きトヨタでしたね。今年のキーワードは「正常進化」だったと思います。

3代目となり、ただエコなだけでなくクルマ本来としての走りの楽しみさを追求したり、ソーラーパネルなどの新技術を取り入れたり…。意外と真っ当路線ではありますが、確実に正常進化していますもんね。ただ価格については「いいものだからこそ、みんなに乗ってもらえるようにしなきゃ」と、189万円というビックリプライスで出てきたインサイトの功績は大きいと思います。小排気量で軽量にという、環境を考えたクルマが持つべき基本の考え方が、ギュッと詰まっていると思いますし…。

では、ハイブリッド車のいちばんのポイント、どっちが燃費性能が高いかというとプリウス。やっぱり一般道で燃費が向上するっていうのは、これまで考えられなかったことですからね。だからこそ、あれだけ接戦の互角の勝負になったんでしょう。たぶん心の底では「どちらも一長一短。甲乙付けがたい」と思っていた方が多いのではないでしょうか? 少なくとも、私はその1人でした。

インポート・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた『ゴルフ』も正常進化でしたね。Cセグメントのベンチマーク車と言われるゴルフですから、完成度の高さがポイントになったのでしょう。やはり小排気量エンジン×DSGという組み合わせは、走りの楽しさはスポイルせずに燃費に貢献という意味では、一日の長があります。GTIのように、サーキットでレースができるのに、押入れタンスが積めるなんていう、オールマイティ性の高いクルマも他にはないですから。

モストアドバンスドテクノロジー賞の『i-MiEV』は、現在のところ量産型EVとしてはいちばんまとまり感がよく、航続距離的にも運動性能的にも実用になんの問題もなく、普通のクルマから買い換えた方が不便のない使い勝手を保ちながら、いきなり乗っても瞬時に普通に動かせるというフレンドリーさもキーになったと思います。モストファン賞の『フェアレディZ』は、汗をかかないスポーツ性能が今の時代にマッチしていたと思うし、ベストバリューの『レガシィ』は、「EyeSight」に代表される最新鋭の安全性能を安価で提供してきたところもポイントだったと思います。

ハイブリッド&EVが10台の内3台含まれるという、時代を象徴したカー・オブ・ザ・イヤー。クルマはこうやってどんどん変身していくのでしょうね~。

竹岡圭|モータージャーナリスト
自動車専門誌を中心に、さまざまな媒体において、執筆者/レポーター・コメンテーターとして活動している女性モータージャーナリスト。インプレッションをはじめとして、カーグッズ、クルマ旅行など、カーライフ全般を女性の視点からレポートしている。セーフティドライビングスクールのインストラクターや、イベントでの講演なども積極的に行っており、実際にユーザーにアドバイスすることも大切にしている。モータースポーツでは、自身ドライバーとしてツーリングカーの耐久レースやスプリントレースなどに参戦。今年はラリーレイドにも挑戦し、ラリーレイドモンゴルで完走を果たした。日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J.)理事、国土交通省「社会資本整備審議会道路分科会有料道路部会」委員、自動車技術展「JASE EXPOSITION AWARD」審査委員、チャイルドシート指導員、自動車競技国際C級ライセンス所持。

《竹岡圭》

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