先代の12.6km/リットルに比べ14.2km/リットルと、大幅に10・15モードの燃費を向上させることに成功した新型ホンダ『ステップワゴン』。
見事エコカー減税の対象車になったが、今度はどんな新技術を搭載してきたのかと思って調べてみると、意外にもエンジンに新技術はナシ。じゃあ、どんな手で燃費を向上させたのか、燃費向上の開発を担当した本田技術研究所の新地高志さんに訊いてみた。
「開発当初から『ストリーム』のパワーユニットをベースにすることは決めていたました。これによって燃費向上は13.6km/リットルまでは読めていたんです。ところが社長の指令で、何としても『ノア/ヴォクシー』の14.2km/リットルを目指せ、ということになったんです」。
当然と言えば当然だが、ライバル車の成長で社長からトップダウンの指示が飛んで、何が何でも14.2km/リットルを達成しなければならなくなったワケだ。
「まずは徹底的にフリクションの低減を追求しました。ピストンリングの低張力化、ピストンのパターンコーティング…。それに電動パワステ(EPS)を採用した効果が大きいですね」。
しかし、それでも目標とする燃費には到達せず、最後はバランサーを外したのだと言う。バランサーは駆動損失を生む代わりに振動を軽減してくれるため、車体の軽量化になるためストリームでは採用していたのに、だ。
「その代わりに振動対策を車体側でやることにしたのです。しかし可変吸気のバルブ類など補機類などに弊害が出て対策が大変でした」
通常、エンジンの上下どちらかにしか装着されていないトルクロッドを上下に装備しているのは、そんな振動対策の一つ。しかし振動を車体に伝えることは防いでも、エンジン自体の振動は抑え切れない。エンジンの各部をつぶさに見直して築き上げた燃費性能。だけど最後は振動対策に追われることになったのだ。