「最初、スケッチを描く時点で気にしたのは、これ以上ないくらいシンプルにすることでした」と話すのは、デザイン本部プロダクトデザイン部で『スカイライン クロスオーバー』のインテリアを担当した田中専治さん。
なぜならインテリアは後からスイッチなどが入ってきてどんどん複雑になるからだという。「複雑になっていくほど、表現したいラグジュアリー感からはどんどんかけ離れていくので、そこはとても意識しました」。そして「そぎ落とした中で一本の線がどれだけ綺麗に引けるかを大事にしました」という。
ラグジュアリー感とは、「これ見よがしな華美さというのとは違います。どちらかというと控えめな表現の中に艶やかさがしっかり表現されているようにしました。欧米のドレスのようではなく、日本の着物のような控え目だけど艶やかさはしっかりある。それが同居しているところが気品につながり、そしてインテリジェントにつながると考えました」。
また、「例えばセンタークラスターからメーターまわり、ドアトリムに向かっていく線などは、書道の止め跳ねのように緊張感とくつろぎ感の微妙なバランスを表現しています。線は長く使うようにしました。限られた中でストレスの無い空間を作りたかったので。これは素材で見せるというのとは違った高級感につながると思っています」。