ヘタなスポーツカーは軽く置いていかれるほど速く、コーナリングに優れている。シャープに向きを変え、コーナーに進入しても、前輪駆動にしては例外的にリアタイヤがよく粘る。
2リットルエンジン版に付く「DCC」サスペンションでは、このコーナリングの一連の動きで発生するノーズダイブ&テールスクオットとロールが相互に制御され、まるで平行移動しているかのようにコーナリングのキレがいい。荒れた路面での路面追従性が良く、ハイペースでコーナリングしても暴れることなく、なおかつ乗り心地が乱されない。
“人工的”と評されることがあるかもしれないが、非常にレベルが高い“人工的な”制御は、デキの悪い“自然な”制御なしを超越する。
1.4リットル版には「DCC」は付かないが、それでもシャシーとサスペンションの素質の幹が太いので、ナチュラルで好ましい。TFSI+7速DSGも、あい変わらずいい仕事っぷりだ。左足ブレーキでエンジンが失速する設定だけは、そろそろ改めて欲しい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
金子浩久|モータリングライター
1961年東京生まれ。著書に、『10年10万キロストーリー』、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』(共著)などがある。