先代の『ゴルフ』に、2 - 3か月に1度は乗る機会があった筆者にとって、新型ゴルフは先代とあまり変わっていなかった、というのが率直な印象だ。
それは、先代の完成度がかなり高かったという意味も含めて。質感の高さには一定の評価を得た先代は、実際かなりお金もかかっていたようで、その開発コスト回収の意味合いもあり、新型では多くのコンポーネンツを先代から流用している。何の説明も聞かずに乗って、違いはどうかと訊かれたら、返答に窮しそうだ。
ただ、乾式クラッチのDSGが、これほど早いタイミングでかなり改良されていたことは特筆したい。従来みられた微低速時のジャダーが、ほとんど気にならないレベルになっていた。また、シフトチェンジ時のエンジン回転の制御も、より緻密になったように思う。
先代との比較はこれぐらいにして、日本に導入された2モデルのことを述べると、「これは!」と思わされたのは「コンフォートライン」のほうだ。動力性能はこれで十分だし、従来よりもさらに向上した燃費もいい。従来は最廉価の「トレンドライン」のみだった、このパワートレインの組み合わせが、そこそこ装備の充実したコンフォートラインに搭載されたことも歓迎したい。
また、17インチ仕様のハイラインに対し、16インチ仕様のコンフォートラインのほうが、だいぶ乗り心地がよく、動きも素直で、全体のバランスは一段上の位置にいる。ハイラインは、よりパワフルなツインチャージエンジンを搭載し、装備もさらに充実する点では、もちろん魅力的な存在には違いない。
いずれも、これほどのクルマが300万円前後で買えることを喜ばしく思う。実際に手に入れても、「よい買い物をした」という気になれるはずだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
ビデオマガジン『ベストモータリング』の制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスに転身。新車から中古車、カスタマイズ事情からモータースポーツ、軽自動車から輸入高級車まで、幅広い守備範囲を誇る。「プロのクルマ好き!」を自負し、常にユーザー目線に立った執筆を心がけている。