ランドローバーは8日、ニューヨークモーターショーで『ディスカバリー』のマイナーチェンジモデルを発表した。エンジンや内装を一新。米国での車名は、従来の『LR3』から4世代目を意味する『LR4』に変わった。
マイナーチェンジのハイライトが新エンジン。ガソリンは従来の4.4リットルV8に代えて、直噴5.0リットルV8「LR-V8」を積む。このV8はジャガーと共同開発したもので、ジャガー版の「AJ-V8ジェネレーション3」は、すでに『XF』や『XK』に搭載されている。
直噴5.0リットルV8は、可変バルブタイミングの「VCT」、マルチホールのスプレーガイディッドインジェクションによる150バールの高圧燃料噴射などを導入。最大出力375ps、最大トルク51.9kgmと、従来の4.4リットルと比較して、パワーは25%、トルクは19%向上した。トランスミッションはZF製の6速ATで、0-100km/h加速は7.6秒の実力。米国のULEV2基準に適合する排出ガス性能も実現した。
ジャガーと同じV8でありながら、オフロード用の対策を施しているのはランドローバーらしい部分。専用インレットマニホールドや機械式クーリングファンを採用。オルタネーター、パワーステアリングのポンプ、エアコンコンプレッサーなどは防水加工済みだ。
欧州向けのディーゼルも一新。従来の2.7リットルV6比でパワーは29%、トルクは36%向上した3.0リットルV6ツインターボディーゼル(245ps、61.2kgm)を積む。燃費も9%改善し、欧州複合モードで10.75km/リットルをマークする。
伝統のオフロード性能には、いっそうの磨きをかけた。「テレインレスポンス」システムには、砂地でのスタックを防ぐ「サンドローンチコントロール」を組み込む。さらに岩地で車速5km/h以下、ギアが1速かリバース時に作動する「ロッククロールプログラム」には、ブレーキ圧を弱める機能が追加された。さらに、「ヒルディセントコントロール」には「グラディエントリリースコントロール」機能を導入。急坂でブレーキペダルを放した時の安定性を引き上げている。
サスペンションはフロントを42mm、リアを62mm下げ、ロールセンターや重心をダウン。スタビライザーも大径化した。ブレーキは『レンジローバースポーツ』用にグレードアップし、ローター径は前360mm、後ろ350mmを装着。緊急ブレーキ時には、テールランプを点滅させて、追突を防止する。
インテリアはデザインを一新。インパネ最上段には5インチのTFT液晶モニターをレイアウトし、各種情報を表示。センターコンソールのスイッチは丸型のダイヤルとなり、使い勝手を向上させた。シフトレバー前方には、テレインレスポンスのモード切り替えスイッチを配置。各種スイッチ付きのステアリングホイールも新しい。エンジンスタートはプッシュ式に改められた。
シートは1列目と2列目を新設計。1列目はシートクッションを延長し、座り心地とサポート性を改善。2種類の新内装色も用意された。「HSE」グレードはレザー内装が標準だ。
外観はフロントを中心にフェイスリフトを実施。新デザインのグリル&LEDヘッドランプ、大型エアインテーク付きバンパーが従来型との識別点だ。テールランプもLED化された。フェンダーにはエアベントを新設。フロントバンパーにはリップスポイラー、前輪にはディフレクターを装備し、高速走行時のドラッグを低減している。
新しいディスカバリーは、2010年モデルとして英国の9月を皮切りに順次、世界各国で発売。欧州や日本では『ディスカバリー4』、北米ではLR4のネーミングで販売される。