【ホンダ S2000 生産終了】一時代を築き、守り抜いた稀代のスポーツカー…渡辺敏史

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ホンダ『S2000』の生産終了のアナウンス以来、ホンダディーラーには予想以上のS2000のオーダーが寄せられているという。いちスポーツカーファンの視点から見た、またモータージャーナリストとしての立場から見たS2000の存在意義とは。渡辺敏史氏による特別寄稿。


◆世紀をまたいで「スポーツカーのホンダ」を支え続けてきた

1999年から2009年。思えば激動に次ぐ激動だったような気がするこの10年、世紀の変わり目を挟んで「スポーツカーのホンダ」を支え続けてきたんですね、S2000は。 

型式名称AP1。初めて乗った時のことは鮮明に覚えています。何より存在感があった……というか、正直、呆れ果てたのは、なーんのためらいもなく9000rpmまでシュパーンと回りきりつつも、更なる余力まで感じさせるF20Cユニットです。パワー&トルクカーブもバイク同然の超高回転型。聞けば圧縮比は11.7と。こんな量産車用の4気筒エンジンは、世界のどこを探してもありません。当時も、そして今も。

と、それに触れた時、僕は直感的に以前体験したことのある『S800』のことを思い出しました。今にしてみればファニーなルックスのボンネットの内に、4連キャブのAS800E型4気筒を収めたそれは、やはりエンジンの存在感が際立っているクルマなんですね。アクセルに足を乗せただけでピクッと反応 するそれは、当時の周囲のクルマのレベルから考えればとんでもなくハイリミットかつハイレスポンスなものでした。

こんなクルマはホンダでしかあり得なかったのだろう。その想いはそのままS2000のそれにも繋がります。デビュー当時はその名に若干の唐突感もありましたが、実際に触れた印象がこの記憶と繋がったところで、僕にとって「エス」の称号は綺麗な一本の糸になりました。 

と共に、当時、S2000の出来に疑問を抱いたのも確かです。ここまでエキセントリックなエンジンを、FRスポーツの理想を愚直に追求したパッケージの中に収めて、なおオープンカーである必要はないんじゃいか。風を感じながら楽しく走るというにはこのクルマ、ストイックに過ぎるのではないかと。そう思ったわけです。何せ周囲にいたライバルに比すれば余りにブチキレたキャラクターだったもんですから、もう心配にすらなっちゃって。 


◆尖った魅力を内包したまま、完成度は頂点へ

で、時は流れて2009年。最終型となったS2000に改めて乗せていただきました。あの頃、抱いた思いは既に氷解しています。多少ヤンチャなところもあったけど、長いことよく頑張ったねというねぎらいの気持ちを抱きつつ、その低く長いノーズを海の方にブーンと向けました。

2.2リットルに拡大されたことによって超高回転域までの伸びは若干失われたものの、俄然扱いやすさを増したF22C型エンジンは、相変わらずホンダらしいといえる刺激を内に秘めています。トップエンドの8000rpmまできっちりパワーを乗せていくそのフィーリングやサウンドは、やはり他に変わるものがありません。一方、初っぱなからクロスしまくるギア比も相まって、現在のアベレージとしては相当に軽い車体を低速域から小気味よく蹴り出すサマは、このクルマに新たな魅力をもたらしてくれました。それすなわち、街中の交差点をサクッと曲がるだけでも充分スポーツ気分に浸れるという、ライトウエイト オープンならではのエンターテインメント性です。

拳一つの動きでサッと向きを変えるリズミカルな回頭性、指先で探るだけでも狙いのゲートにスッと飲み込まれていく絶品のシフトフィール、そういう要素は低速域でもスポーツカーを操る喜びを充分に与えてくれます。加えて、そういう速度でもしなやかさを感じさせてくれる熟成されたサスペンションも最終型の魅力かもしれません。そもそもS2000のボディ剛性は、オープンカーとしては破格といえるものを備えていましたから、アシの進化は濁りなく乗り味としてフィードバックされやすい。最終型をして、最新のオープンスポーツと比較してもその乗り心地や接地感は遜色ないレベルにあると思います。 

思えば初代の「エス」が、試作の360から500 - 600を経て800でその完成をみたように、現代の「エス」も10年を進化と熟成の時として費やしていたのかもしれません。結果として、その尖った魅力を可能な限り内包したまま、完成度を頂点方面に引き上げるに至ったわけです。

FR、ライトウエイト、オープン……といえばクルマ好きの走り好きなら思わず反応してしまうキーワードでしょう。そのどれかを取っても、全部をと欲張っても、今考えられる最高の内容を供してくれる。そして魅力のど真ん中に、微動だにしないエンジンの存在感がある。S2000は紛れもなくホンダの一世代を築き上げ、守り抜いた稀代のスポーツカーだと思います。
《渡辺敏史》

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