1 | チョコ大量喰いでアウト |
日本では「奈良漬を食べた」が、飲酒運転の呼気検査で摘発された際の言い訳として頻発しているという。
実際は、現在までに「奈良漬を食べた」と主張して裁判で無罪になった判例はないらしい。また研究機関の実験でも、相当な量を食べなければ基準値に至らないことが判明している。
次の弁解としては「酒まんじゅう」か? といった冗談はさておき、実はイタリアでも似たような事件があった。ただしこちらの場合は、奈良漬ではなく、チョコレートである。
昨年12月、北部トレントで30歳代の女性が酒気帯び運転で摘発された。警察によると、女性からは規定値の倍以上のアルコール濃度が検出され、6か月の免許停止となった。ちなみにイタリアの道交法では多くの欧州諸国同様、血中アルコール濃度が0.5mgを超える場合が行政処分の対象だ。0.15mg以上とする日本より甘い。
しかしこの女性、「大量に食べた『モンシェリ』が検知器に反応しただけ。飲は飲んでいない」と主張。法廷へと持ち込まれて現在に至っている。『Mon cheri'』とはイタリア北部ピエモンテ県のフェレッロ社が造るリキュール入りチョコレートである。
5粒入り52.5gで円にして160円。イタリアで売られている他のチョコと体積比で比べると少々高めである。したがって、大箱は贈答品の性格が強い。「お呼ばれ」のときに持参するものだ。筆者も、普段は自分では買わず、人の家でつまむものと決めている。
このモンシェリ事件は、ドライバーにそれなりの衝撃をもたらしたようだ。その結果、イタリアを代表する自動車誌『クアトロルオテ』も2009年3月号で、摘発された女性と同年代である30代女性にモンシェリを12個食べさせる実験を行なっている。アルコール検査は本物の交通警察官に来てもらっている。さすが一流の自動車誌だ。結果とはいうと……。