【池原照雄の単眼複眼】「出品」しなくても「来場」するイベントに…東京モーターショー

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世界不況で「身の丈」に合わせる

今年秋に予定されている第41回東京モーターショーが自動車産業の世界同時不況の波をもろに被ることになった。会期は4日間短縮され、外国メーカーの参加が減るため、展示スペース自体も小さくなる。

今年1月の米デトロイトショーへの出展を取りやめた日本メーカーが少なくなかったことを考えると、外国メーカーの参加が減るのはいたし方ない。不況に直面する世界の自動車業界の「身の丈」に合わせた開催規模だが、工夫次第では来場客との距離を縮めた中身のあるショーとすることも可能だ。

主催者の日本自動車工業会は24日、今年の東京モーターショーの「内容変更」を明らかにした。会期は当初予定の17日間から4日間短縮の13日間(一般公開は10月24日-11月4日)に、出品企業数と展示スペースは前回07年ショーのほぼ半分になる。

◆経済情勢に左右されてきた歴史

いすゞ自動車など国内のトラックメーカー4社が参加を見合わせるほか、注目の外国メーカーも米3社と欧州の量産メーカーほぼすべてが“欠場”となる。外国の4輪車メーカーは韓国・現代自動車と独ポルシェ、伊フェラーリなど計6社にとどまる。

寂しい気はするが、モーターショーが経済情勢に左右されるのは今回に始まったことでもない。1954(昭和29)年に「第1回全日本自動車ショー」(当初は日刊自動車新聞社主催)としてスタートした東京モーターショーは、1973年まで毎年開催された。

しかし、同年の第1次石油ショックを機に翌74年は急きょ中止し、75年からは隔年開催となった(商用車ショーが分離された99-05年は毎年開催)。会期についても、一般公開日が17日間の過去最長となっていたのはここ2回のことだ。95年から03年までは今回の短縮期間と同じ13日間だった。

主催する自工会としては「経営環境が大変厳しいなか、(出品者の)負担を軽減する」(青木哲会長)措置は当然である。自工会自身も会期短縮などで「当初より2割程度の経費削減」(幹部)を図る。

◆先進技術をしっかり見せる

一方で、従来は有料だった中学生についても小学生以下と同様に、今回は無料とする。若年層のクルマへの関心を高めてもらうことが将来の自動車市場活性化には不可欠となっており、この無料化は時代に即した施策と評価できる。

外国メーカーの新モデルや技術が見られないのは取材する側としてはつらいが、その分、じっくり日本メーカーの取材にさくことはできる。日本各社もショーの予算は緊縮となろうが、お金をかけずとも先進的な技術はしっかり見える展示としてほしいところだ。

環境や安全に関する日本メーカーの技術は、外国の企業やメディアも無視できないはずだ。出品はしなくても、外国メーカー関係者が会場に足を運ばざるを得ないショーを期待したいし、それは十分できるはずだ。

《池原照雄》

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