「今年のデトロイトは相当危ない」「1ブロック歩くだけでも身包み剥がされる」「会場から一歩出たらヤバイ」などなど、出発前、デトロイトモーターショーに出かける記者には周囲からたくさんの心配の声が寄せられた。
たしかに、自動車産業を中心とする工業都市のデトロイトは、全米の中でも特に失業者の増加が激しい街のひとつだろう。失業者が増えるということは、治安が悪化するということでもある。
周囲にさんざん脅かされた記者は、会場との移動距離を最短にするため、宿泊先としたデトロイトモーターショーの会場からわずか道を1本挟んだだけの立地にあるホテルを予約。覚悟を決めてショーに挑んだ。
しかし……。結論からいえばそこまでの覚悟は取り越し苦労だったようだ。確かに、デトロイトは安全な街ではない、しかし数年前にもデトロイトを訪れたことのある記者にとっては、特に治安が悪化したような印象は受けなかった。会場から一歩外に出るだけで身の危険を感じるほど、殺伐とした空気ではないのが実感だ。
ただし、昼間でも、会場をちょっと離れるだけで極端に人気(ひとけ)がなくなるので、ちょっとそこまででも徒歩で移動する気にはなれない。徒歩で夕食に出かける勇気も、もちろん持ち合わせてはいない。