1 | イタリアの食品問屋 |
日本では年末年始に東京アメ横の光景が毎年テレビで放映される。季節柄主役は新巻鮭を扱う魚屋さんだが、それに次いで食品問屋も繁盛する。
イタリアでもここ10年間で、大型チェーンの食品問屋が各地に増えた。我が家の郊外にも開店した。運送業者やスーパーの流通センターが立ち並ぶ一角だ。
入口には普通のスーパーと同様にガラス製自動ドアがあるが、ちょっとした“儀式”が要る。入場するにはメンバーズカードが必要で、それを手に入れるには、イタリアで企業や自営業者が持っている付加価値税番号が必要なのだ。要するに、「経費として控除ができる可能性のある人しか入っちゃダメよ」というわけである。サラリーマンは入場できない。カードは即日発行され、次回以降はそれをカードリーダーに通すことでドアを自分で開けられる。
店内は飾り気がなく、多くの商品は、フォークリフトのパレットに積まれている。いかにもプロ相手っぽい。いっぽう品物の最小購入単位はというと、幸いフレキシビリティに富んでいて、ガム1個からでも買える。へこんだ缶、いわゆるペコ缶でも値引きせず平然と売られているところは、何ともイタリアである。
2 | 巨大パスタ |
しかし何より日本人の目に面白く映るのは、意外なモノに業務用の巨大版が存在することだ。写真をご覧いただければわかるようにピッツァソースはもちろん、パニーニやツナソースづくりに使うであろうツナ缶も2kg版がある。
なかでも圧巻なのはパスタだ。3kgや5kgの袋が売られている。5kg物などは一瞬「ドッグフードか?」と勘違いするボリュームだ。これを目撃してしまうと、日本の『オーマイ・スパゲッティ270g入り』袋が、ままごとグッズに映るようになるから不思議だ。我が家でも、ときおりバリッラの『3kg入りプロ仕様』を買ってくるときがある。