【池原照雄の単眼複眼】ビッグ3の危機は日系部品メーカーの危機

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◆注目される追加支援の行方

米国ビッグ3の経営危機問題が時間との闘いとなっている。GM(ゼネラルモーターズ)など3社は、米政府による資金繰り支援の実現をめざして12月2日までに新たな再建計画を議会に提出する。

各社の運転資金は急速に細っており、タイムリミットが迫る。破たんという事態になれば日本企業も影響は免れず、とくに部品メーカーは支払いの遅延や一部債権のカットといった深刻な事態が想定される。

米メーカーへの資金繰り支援は、環境対応車への生産支援として政府が設定している低利融資枠の250億ドル(約2兆4000億円)を運転資金に転用することがひとつ。これについては民主・共和両党の基本合意が成立している。3社はこれに加え、金融安定化法に基づく同規模の融資も要請している。


◆支払い遅延や債権カットの恐れ

GMは今月7日の7 - 9月期決算発表の際、新車市場の好転や資金調達の進展がなかった場合、今年末の手元資金は事業を継続するうえで「最小必要額」のレベルまで減少、さらに2009年前半には事業継続に支障を来たす恐れがあると表明した。なりふり構わず、政府に資金支援を求めるメッセージである。

米下院は3社の再建計画を検討したうえで、12月第2週に支援をめぐる審議を再開する予定だが、なお「破たん処理」の可能性は消えていない。米業界の混乱は、日本の自動車各社にも多大な影響を与える。

雇用の悪化に伴う新車需要の一層の縮小が最大の懸念だが、業界幹部は「死角となっている問題」として日系部品メーカーへの影響を指摘する。部品各社はすでに日米完成車メーカーの大幅な減産の影響を受けているが、米メーカーとのビジネスで支払い遅延や、場合によっては一部債権の放棄といった事態も予測されるというわけだ。


◆部品メーカーと連携した「備え」が急務

日本自動車部品工業会の08年版「海外事業概要調査」によると、会員企業の連結子会社となっている北米での生産会社は303社に達する。その数は中国の371社には及ばないものの、海外生産子会社全体の売上高比率では北米が42%を占め、最大だ。

これら北米の生産子会社は、日本の完成車メーカー向け事業が大半を占めるものの、米3社との取り引きも少なくない。すでに部品メーカーでは北米の一部工場を閉鎖するといった動きも出ているが、米ビッグ3の動向次第では追加的なリストラも迫られる。

その影響は日本の自動車メーカーの北米生産にもはね帰って来る。完成車メーカーと部品メーカーは連携を密にした「危機への備え」が急務となっている。
《池原照雄》

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