【伊東大厚のトラフィック計量学】自動車盗難対策の効果分析

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◆盗難率の推移

近年、自動車の盗難件数は減少しつつある。減少したのは、取締りの強化、ドアロックの励行、セキュリティ装置の普及など対策の成果と言える。今回は、盗難率に注目し対策の効果を分析してみたい。

盗難率 - 自動車保有台数あたりの盗難件数 - は、盗難リスクを示す指標である。03年に保有1000台あたり0.87件まで増加した盗難率は、07年は0.42となり、増加以前の98年を下回る水準まで回復してきた(図1)。


◆ドアロックと盗難率

損保協会の調査によれば、『キーをつけたままクルマから離れることがある』というドライバーの割合は、01年の19%から06年は10%と9ポイント低下している(図2)。盗難防止キャンペーンが効を奏し、ドアロックの励行が進んだことを示すものだ。

この「キーを付けたまま」のドライバー比率を用いて、盗難時にキーを付けたままにしていたか、抜いていたか、それぞれの盗難率を推定してみた。「付けたまま」の盗難率は、「抜いていた」より約3倍も高いことがわかる(図3)。

しかし、殆どのドライバーはドアロックの習慣がないわけではなく、ちょっとクルマから離れる場合やロックし忘れといった、うっかりミスも多い。こうしたミスをゼロにするのは難しいが、自動施錠機能の普及もあるので、「キーを付けたまま」の盗難はもう少し減るだろう。


◆盗難対策の効果とセキュリティ装置

ドアロック励行者の比率と盗難率の実績値から、01年から07年の盗難対策の効果を大まかに推定してみた。未対策ケースの想定値と較べ、全体で約4万件の盗難件数減少効果があったとみられる。内訳は、ドアロック励行による効果が4分の1、残りは盗難率が下がったことによるものである(図4)。

取締りやセキュリティ装置の普及などにより盗難が抑制され、また未遂も増えたことが、盗難率の低下につながったと考えられる。中でも、非搭載車と較べ盗難率が3分の1以下となるイモビライザ(※)の寄与は大きい。

※イモビライザ:キーから発信される暗号を車両本体内のコンピューターで照合し、暗号が一致しないとエンジンが掛からない盗難防止装置

しかし、犯罪の手口も進化する。石川五右衛門『…世に盗人の種は尽きまじ』ではないが、イモビライザも盗難をゼロにすることはできない。将来、クルマのセキュリティ技術が向上したとしても、取締りや駐車場の防犯対策が必要なことに変わりはない。
《伊東大厚》

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