前輪位置が“前出し”され、グンとかっこ良くなった新型『A4』。もっとも、そんな“大手術”はこのブランドが流麗なクーペ・プロポーションを手に入れる目的で行われたはず。すなわち、「『A5』のプロジェクトにGOサインが出たからこそアウディは駆動系レイアウトの変更に手を付けた」というのが自分の見方。でなければ、まるでFRのごときこんなレイアウトを、アウディが採る必然性は見当たらないのだから……。一方、そんな新レイアウトに起因すると思われるちょっと残念なポイントは、FWDモデルでフル加速時のトラクション能力が不足気味である事。また、トランスミッションからの出力回転を前輪側へと「戻す」ための軸が右側フロントフロアを膨らませているため、右ハンドル仕様では左足置き場が窮屈なのも見過ごせない。それを除くと、見た目質感も走りの質感も飛び切りの高さ。ただしCVTが生み出すフィーリングは“FUN”ではない。それに気付いているこのメーカーは、いずれDCTへの切り替えを行うはず。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★河村康彦|モータージャーナリスト1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。