【池原照雄の単眼複眼】経済対策に自動車減税があっていい

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住宅ローン減税の波及効果は期待薄

政府・与党は30日に追加経済対策(新総合経済対策)を取りまとめ、麻生首相が記者会見して発表する。個人向けでは所得・住民税の定額減税と住宅ローン減税の拡充が柱となる。経済対策では毎度のお決まりパターンだが、狙いとする消費への波及効果は期待薄だ。

それよりも自動車関連税制を減税した方が、新車需要の活性化という即効性が期待できると見る。減税方法は道路特定財源を一般財源にするに当たり、一部の税金を廃止するというやり方がある。

住宅ローン減税は、リフォーム費用への減税制度も含め、現状の暫定制度が12月に期限切れになることもあり、過去最大の減税幅となる新制度が導入される。現状では住宅を取得して入居後の10年間で、最大160万円の所得税が戻される仕組みとなっている。

◆一般財源化による還元策として

住宅は確かに経済への波及効果がある。新しい家に住めば家具や家電、余裕のある人はクルマなども新しいものに買い換えるケースが少なくないからだ。ローン減税はその原資ともなる。

ただ、株価の崩落や所得の伸び悩みで消費マインドが冷え、不動産価格も下落途上にあるこの時期に、ローン減税を拡充しても住宅市場のテコ入れ効果としては限定的となろう。

自動車関連の減税は、道路特定財源の一般財源化というタイミングからも納税者への還元策として検討に値するはずだ。「受益と負担」という同財源(税制)の基本を崩すわけだから、本来、自動車取得税や自動車重量税は一般財源化とともに廃止すべき税金である。

◆取得税廃止で内需刺激

その手始めに、経済対策の切り札として自動車取得税を廃止してはどうか。取得税は、取得価格に対し5%(軽自動車と営業用車は3%)の課税となっており、消費税との2重課税状態にある。

年間の税収は約4800億円であり、道路特定財源からすでに一般財源に回されている予算やムダ使いもある「使途拡大」分の合計額の範囲内に収まる。つまり、廃止しても財政上の影響は大きくない。

自動車業界は米国を中心とする輸出と国内需要の低迷で、国内生産を絞っている。2次、3次を含むサプライヤーへの影響が出始めており、完成車メーカーもやむを得ず、派遣労働者や期間従業員の削減に動いている。

登録車だと事実上5%の値引きとなる減税は、相当な新車需要刺激効果をもたらすだろう。中途半端な投資減税より、部品関連などの中小企業への波及効果も期待できる。

微力かもしれないが、雇用の調整弁となっている人たちへの雇用機会創出にもつながるはずだ。さらに、新車への買い替えは、総じて燃費性能の良いクルマに代わるわけだから、環境負荷低減の効果ももたらす。

《池原照雄》

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