「80%がウイークエンドの利用」…パリのカーシェアリング企業Caisse-Communeに聞く

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「80%がウイークエンドの利用」…パリのカーシェアリング企業Caisse-Communeに聞く
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バスや鉄道などの公共交通を補完する新たな移動手段として注目を浴びつつあるカーシェアリング。フランス・パリではすでに複数社が事業化しており、この10月にパリ市もカーシェアリングへの参入を表明した。1998年にパリで初めてカーシェアリングを事業化したCaisse-Commune(ケース・コミューン)を取材。事業化のきっかけと今後の展望について、同社代表のAlain Leger(アラン・レジェ)氏とマーケティング・コミュニケーション担当のJulie Leclere(ジュリー・ルクレール)氏に話を聞いた。

----:Caisse-Commune(ケース・コミューン)でのカーシェアリング事業が始まった経緯は。

Alain Leger(アラン・レジェ)代表:設立は1998年で、事業のスタートから今年で丸10年となる。事業を始めたきっかけは、ちょうどその頃、大気汚染や地球温暖化など、環境問題が非常に問題になっていたためだ。特にCO2の増加は当時のフランスにおいても大きな問題と捉えられていた。

当時のEC/EU本部で環境問題を担当していたフランス出身のLoic Mignotte(ロイク・ミグノテ)氏がベルギーのブリュッセルでカーシェアリング関連の仕事をしていた。そのロイク氏が、EUでの仕事を終えた後、パリでもカーシェアリング事業を始めた。事業を立ち上げるに当たり、フランスとEUから資金的援助や優遇措置を受けた。

----:ケース・コミューンは、官民合同のいわゆる第三セクターのようなものなのか。

Alain:いや、政府から援助は受けたがわれわれは完全に民間資本の企業だ。

----:駐車スペースは路上だけでなく屋内があるが、全て自己負担なのか。

Alain:路上の駐車スペースについてはパリ市に無償で提供してもらっている。屋内については当社負担だ。路上駐車スペースが無償というのは経営的にはかなりメリットが大きい。

----:路上駐車スペースが無償とは驚いた。では、車両・ステーション規模の推移は。

Alain:開業時はステーション5つ、10台程度と非常に小さな規模だった。その後、次第に増やしていき、2008年9月末現在で35ステーション・116台となっている。現在、事業のさらなる拡大を計画しており、2008年末には50ステーション・160台、さらに2009年の終わりには100ステーション・300台にまで拡大を予定している。

----:これまでの10年を見ると、今後の事業拡大は急だが。

Alain:今年(2008年)の7月に、ケース・コミューンはTransdev(トランスデヴ)社へ事業を譲渡した。トランスデヴは、バスやトラム、市電など、公共交通の運営とソリューションを手がける企業だ。ケース・コミューンの名称は維持しつつ、トランスデヴの元で事業を拡大していく。わたしは、この事業譲渡でトランスデヴよりカーシェアリングのセクションへ異動してきた。わたしはトランスデヴに入る以前に、トヨタやスズキのディーラーで自動車の販売を手がけていたので、その経験が買われたのかも知れない。

----:トランスデヴの事業についてもう少し詳しく教えて欲しい。

Alain:事業の柱は2つある。ひとつは政府や行政向けの公共交通のオーガナイズ。もうひとつは民間企業や個人向けのビジネスだ。ケースコミューンは後者にあたる。経営の貢献度においては、カーシェアリング事業は現状では微々たるものに過ぎないが、戦略的には非常に重要な意味を持っている。新たな今日交通の一形態として、カーシェアリングは交通政策上、重視されつつある。宣伝効果もあり、パリ以外の都市での展開を図る上でも意味はある。

----:ケース・コミューンの想定するユーザー層は。

Alain:われわれとしては、クルマの免許証を持っている人すべてがターゲットだと考えている。車種ラインナップは、ルノー『トゥインゴ』、『カングー』、『クリオ』、トヨタ『アイゴ』、『ヤリス』(ヴィッツ)などを揃えている。いちばんの人気はトゥインゴとヤリスだ。週末はルノー『セニック』といった大きいクルマも借り出しがある。

----:ユーザーへの認知はどのようにして図っているか。

Julie Leclere(ジュリー・ルクレール)氏:今後へ向けたマーケティングやコミュニケーション面での振興策を検討している。例えば、ユーザーとの距離を縮めるイベントやアンケート調査を実施してサービスの向上を図っていきたい。

----:個人客がカーシェアリングがを利用するモチベーションは何があると考えられるか。

Alain:カーシェアリングを利用する理由は2つあると考える。ひとつは経済的、もうひとつは他の公共交通機関と比較した場合の利便的な理由だ。まず、ひとつめの経済面だが、個人がクルマを持つにあたっての最大の問題は駐車場だ。料金が高いうえに、駐車スペースもなく場所を確保できない。今後はクルマを所有したい、と積極的に思う人は減っていくだろう。

----:日本では自動車の販売台数が大幅に減っているが、フランスではどうか。

Alain:フランスのクルマ販売総数は横ばいだ。ただし、個人客は漸減しつつあり、都市部はその傾向が顕著だ。パリの場合、メトロ(地下鉄)とバスが非常に発達しているから必ずしもクルマが必要ない、ということもある。だが、カーシェアリングを利用するふたつめの理由と関連するが、その中でなぜクルマが必要なのかというと、メトロもバスも時間が不安定で信頼性が低い。また、週末は本数が激減するし、深夜は運行しない。こういった公共交通の不便をカーシェアリングで補うという考えだ。
 
----:現在のカーシェアリング利用者数と個人・法人登録の割合は。また、月間の利用数は。

Julie:現在の登録数は約2000。個人が80%、企業が20%という割合だ。個人客の99%はパリ在住で、クルマを所有していない人が大半を占める。月間平均で約4500回の利用がある。また、曜日別の利用頻度で見ると80%がウイークエンドの利用だ。週末は早めに予約しないと使えないことがしばしばある。 

----:車両は元の駐車スペースへの返却が必須なのか。

Alain:その通り。今のところシステム上の理由で借り出し場所への返却が必須だ。

----:週末での利用が80%とのことだが、レンタカー的に使っているのか。

Alain:そうかも知れない。だが、レンタカーと比べるとカーシェアリングの方が自由度が高い。通常のレンタカーは借りる場所が限られる。カーシェアリングは借り出し・返却の手続きはすべてドライバーだけで可能だし、深夜でも返却できる。統計を見ると、利用時間と距離は6時間・80km程度が最も多い。1時間程度の短期間利用も比較的多い。ガソリン代コミ。利用頻度の高い6時間程度の利用であれば値段的にはレンタカーと同等だが、利便性でカーシェアリングのほうがメリットが勝ると考える。

----:ビジネスとして成功の目処は。

Alain:カーシェアリング事業のスタート以来、ケース・コミューンの経営は健全だが、さらなる成功を望むには、ステーション立地の綿密なリサーチが必要だ。リスクを負わないために、ひとつのステーションに多くのクルマを置かないように工夫をしている。

《聞き手:三浦和也 Kazuya Miura 通訳:佐藤純 Jun Sato 》
《まとめ・構成 北島友和》

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