ダイムラーは9月10日、10月2日にスタートするパリモーターショーでメルセデスベンツのコンセプトカー、『ファシネーションスタディ』を初公開することを明らかにした。クーペとワゴンを1台で提案したモデルで、フロントマスクは次期『Eクラス』のイメージに限りなく近いという。現行Eクラスは楕円形のツインヘッドランプだが、このスタディモデルから判断すると、次期型は異形4灯式を採用する見込み。表情のイメージは、2008年のマイナーチェンジでフロントマスクを一新した『SL』に近い。次期Eクラスも現行SLと同様に、アグレッシブに生まれ変わるようだ。また『Cクラス』の「アバンギャルド」のように、Eクラスとしては初めて、スリーポインテッドスターがグリル内に配置されているのもポイント。その点でも次期型はスポーティなイメージが訴求されることがわかる。さて、クーペとワゴンとの融合といえば、アウディが2005年に発表した『シューティングブレーク』コンセプトが思い出されるが、このファシネーションスタディも、デザインにはまったく破綻がない。クーペのような美しいルーフライン、すっきりしたピラーレスのサイドウィンドウ、後輪駆動であることを強調したボリューム感あるフェンダーなど、デザインは違和感なくまとめられている。SLと同じ「Vシェイプ」がフロントとリアに採用されているのも目を引く。リアゲートのウィンドウ面積は小さく抑えられ、スポーティな雰囲気を演出。ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長兼CEOは「このスタディモデルはメルセデスベンツが長い伝統を誇るクーペの新スタイルを提案したものです」とコメントしている。インテリアの写真は公開されていないが、ダイムラーは「レザー、ウッド、アルミなど、厳選した素材を使用して洗練された空間に仕上げた」と説明。イメージスケッチからは、後席は独立した2名がけで、室内中央を橋のように巨大なセンタートンネルが貫いているのがわかる。エンジンは新開発の2.2リットル直4ディーゼル+スーパーチャージャーの「ブルーテク」。最大出力204ps、最大トルク51kgmを発生する。このエンジンは「C250CDIブルーエフィシエンシィ」に搭載され、欧州で今秋発売される。2009年3月デビューと噂される次期Eクラスへの期待が高まると同時に、シューティングブレークがメルセデスの新しいクーペの形として、受け入れられる可能性もある。パリモーターショーでの反応に注目したい。