スマート・オート・ヘッドライトで薄暮時やトンネルでの被視認性を向上
セーフティ・シールドやGPS携帯協調歩行者事故低減システムほど大がかりなシステムではないが、確実に安全性向上につながりそうな細かな技術開発や既存装備の改善も取り組まれている。
例えば、筆者が注目したのが「スマート・オート・ヘッドライト」だ。これは既存のオート・ヘッドライトを改良し、薄暮時や、トンネルに入ったらすぐにヘッドライトが点灯するようにしたもの。
照度センサーの感度を改善し、点灯するかどうかを判別するロジックを改良することで、「木陰やビル陰などで不必要に点灯させずに、薄暮やトンネルに入った瞬間など必要なシーンでは的確かつ迅速にライトが点灯するようにした」(説明員)という。さらにワイパーの動作信号と連動することで、雨天も判別して、必要な場合はライトを点灯させる。これまで利便性の装備だったオート・ヘッドライト機能を、制御を賢くすることで“安全走行”のためにも役立てるというコンセプトは高く評価できるだろう。
◆オートプリテンショナーの進化版、インテリジェント・シートベルト
また、もうひとつユニークだったのが、「インテリジェント・シートベルト」だ。これは従来、プリクラッシュセーフティの一部として実用化されていた事故直前シートベルト巻き上げ装置「オートプリテンショナー」をさらに発展させたものだ。ECUやステアリング操作の状況も総合的に判断し、先行車との追突が避けられない「事故直前」だけでなく、クルマの横滑りや急ハンドル時にもシートベルトを自動で巻き上げて“たるみ”を取り、ドライバーやパッセンジャーの身体をしっかりと拘束する。安全性と安心感を提供する仕組みに進化している。
さらにインテリジェント・シートベルトでは、乗車時にシートベルトが前にせり出して身体をひねらなくても着用できるようになるほか、装着すると自動的に体型にあわせてフィットする機能まで用意されている。これらは利便性向上に役立つだけでなく、これから先進国で急増する高齢者のサポート機能としても役立ちそうだ。