【神尾寿のアンプラグド特別編】iPhone 3Gが扉を開けた!? 国内携帯市場のボーダレス化(後編)

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インフラ先進国・日本に虎視眈々とする海外メーカー

ワイヤレスジャパンで“積極攻勢”をかけてきたのは、サムスンだけではない。中国・深センを本拠地とする通信機器メーカーHuawei(ファーウェイ)も、ドコモの位置する一角に巨大ブースを構えて日本メーカーを睥睨していた。

Huaweiが展示するのは、データ通信関連の設備や端末がメーンだ。特に3G用のデータ端末は、すでに日本でもイー・モバイルが採用するなど実績がある。今回は日本未発売のデータ通信端末や、LTE(ドコモのスーパー3G)用の設備を積極的に展示。商談ブースでは、日本語・英語・中国語が飛び交い、熱心なセールスが繰り広げられていた。

「今後、世界のモバイル通信はLTEの世界に進む。その中で日本は、この次世代インフラの競争や普及が真っ先に起きる地域。日本で実績を作り、Huaweiブランドを世界にアピールしたい」(Huawei関係者)

他にも、会場内にはNokia E71など最新のスマートフォンが随所に見られ、カンファレンスや講演では何かとAppleのiPhone 3Gが話題になっていた。

これまで日本のモバイル関連の展示会は、日本のキャリアとメーカーが護送船団のようにまとまり、その周辺に設備・機器ベンダーやコンテンツプロバイダーが集まるという構図だった。しかし今年のワイヤレスジャパンは、中韓勢や欧州勢のメーカーが積極的な進出を果たしており、“ボーダレス化”が一気に進んだ印象だ。

ドコモを筆頭に日本キャリアは、次のポスト3Gの世界において、「グローバル標準」を強く意識したインフラ投資やサービス開発を行う方針だ。それにあわせて、多くの海外メーカーが日本市場に食指を動かし始めているのだ。

◆シャープは中国からApple型ビジネスモデルを模索

国内市場に海外メーカーが進出の足がかりを求める一方で、日本メーカーが海外市場にチャレンジする動きも出始めている。その筆頭となるのが、国内最大のシェアを持つシャープだ。同社は日本国内だけで年間約1000万台の販売台数を持ち、NTTドコモ、au (KDDI)、ソフトバンクモバイル、ウィルコム、イー・モバイルの国内5キャリアすべてに端末供給する唯一のメーカーだ。最近ではディズニーモバイル向け端末も手がけるなど、MVNO用の端末開発も行っている。

そのシャープは今年6月から中国市場に進出。同国でブランディングに成功した「AQUOS」と連動し、日本で開発したAQUOSケータイを中国市場向けにカスタマイズした「SH9010C」を販売している。シャープは今年中に、さらに2-3機種のモデルを中国市場に投入する模様だ。同社は沿海州を中心とした富裕層向けに、ハイエンドモデルを展開していく方針だ。

さらにAppleのiPhone 3Gが構築したiTunes StoreやApp Storeのような「コンテンツ/ソフトウェア流通プラットホーム」の展開も検討している。

「iPhone 3Gのような水平統合型のビジネスモデルは、国内市場ではキャリアのビジネスモデルと競合しますのでメーカー独自で展開するのは難しい。しかし、中国など海外の新興市場ではキャリアのサービスやプラットフォームビジネスが未成熟であり、そこでシャープの端末シェアを拡大していけば、サービスやコンテンツ/ソフトウェア流通まで含めたビジネスの芽がでてくる。ですから、Apple的なビジネスモデルは海外市場向けとして検討を進めています」(シャープ常務執行役員 通信システム事業本部長の長谷川祥典氏)

また、国内市場でも2010年以降は、キャリアに依存しない「SIMロックフリー」市場の創出が総務省主導で検討されており、そこでは「シャープがメールなど基本的なサービスや、コンテンツ/ソフトウェア流通プラットホームを提供することも考えられる」(長谷川氏)という。

日本の携帯電話市場は、キャリア主導で国内市場の発展をし、その中でキャリアとメーカーが熾烈な競争をすることで長足の進歩を遂げた。しかし、ここにきて市場全体がボーダレス化に向かいはじめている。これは海外メーカーにとって日本市場進出のチャンスであるだけでなく、有力な日本メーカーやコンテンツプロバイダーが海外進出するきっかけにもなりうる。自動車業界はいち早くグローバル化を果たし、今日の発展を築き上げたが、同様の成功を日本の携帯電話業界は実現できるか。今後数年が正念場といえるだろう。

《神尾寿》

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