【神尾寿のアンプラグド特別編】iPhone 3Gが扉を開けた!? 国内携帯市場のボーダレス化(前編)

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一方で、ビジネスモデルも秀逸だ。

iPhone 3Gはハードウェアの構成を限りなくシンプルにし、ソフトウェアで先進性の提供や地域性対応を行うことで、生産規模を大きく取りながら製造原価を抑えることに成功している。市場調査会社のiSupliによると、iPhone 3Gの原価は8GB版で174.33ドルだという。しかもiPhone 3Gは色違いも含めても3モデルしかなく、これを世界中で売っていく。生産規模は年間で1000万台以上になる見込みであり、さらなるコスト削減が可能な余地がある。

こうして低コストで製造されたiPhone 3Gは、各国のキャリアに500ドル前後で納品されている。しかし、Appleは、販売権を与えたキャリアにiPhone 3Gを高く売ることを許さない。各キャリアが販売奨励金(インセンティブ)を負担することで、実際の調達価格よりも安くユーザーに売ることを条件としている。Appleは原資負担ゼロで、iPhone 3Gを手頃な価格で市場に出し、普及させることができるのだ。

そしてiPhone 3Gのビジネスモデルの最終段階となるのが、コンテンツ・ソフトウェア流通プラットフォームの部分だ。Appleは音楽・映像コンテンツの流通プラットフォームである「iTunes Store」と、ソフトウェアの流通プラットホームである「App Store」を用意しており、iPhone 3GやiPod用のコンテンツ・ソフトウェアはすべてそこを通じて販売・流通するスキームを構築している。

その販売手数料は、App Storeの場合は販売価格の30%である。この流通プラットフォームは世界中のすべてのiPhone 3G向けに用意されており、iPhone 3Gが普及すればするほど、コンテンツ・ソフトウェアの販売手数料収入が増える仕組みになっている。

このようにiPhone 3Gは、「端末の製造・販売」で収益をしっかり上げながら、各国キャリアの原資負担で値下げ販売を可能にし、その上で普及したiPhone 3Gの稼働規模をベースに「コンテンツ・ソフトウェア流通の手数料収入」を得る二段構えのビジネスモデルを構築している。

しかも、ソフトウェア開発力やデザイン力、ブランド力の高さをいかして、グローバル市場をたった3モデル(実質的には1機種)で売り抜く。1モデルあたりの市場占有率では、世界シェアトップグループのノキアやサムソンを上まわるのだ。きわめて効率のよいビジネスをしていると言えるだろう。

《神尾寿》

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