昨年に続いて「F1日本グランプリ(10月10 - 12日)」を開催する富士スピードウェイ(FSW)に、今年1月、切り札ともいえる人物がトヨタから投入された。F1事業本部長に就任した高瀬由起夫氏(取締役副社長兼務)である。
(前編より続く)「今年は全体最適化をします。(具体的に言えば)『責任者は動かない』。私も日本GPの期間中は、このFSWの中のどこかの建物にいますが、そこを動きません。万が一、何かが起きても、いや、何かが起きた時であればなおさら、私はそこから動きません」
施設の充実は目に見えて進んでいる。
「上限はないと思いますが、FSW内のハード(施設面)は現在進行中の改修工事で充実すると思います。観客のみなさんには安心してご来場していただきたい」
あとはソフト面、スタッフ育成こそが重要課題となるが、そこは高瀬氏がもっとも重点を置いているポイントでもある。
「わからないことは誰に聞けばいいのかが確立された体制づくりをしています。それに、保安や警備のスタッフというのは、最初にお客さまに接する立場なんですから、とにかく笑顔と挨拶でご対応申し上げるように。これも言っております」
高瀬氏は、今年のバス留め置き方式(詳細は別項)によるチケット&ライドシステムを成功させた暁には、2010年以降(日本GPは来年から鈴鹿との隔年交互開催)に向けて、“次”なる発展を考えてもいるようだ。
「いろいろな意見(マイカー入場や徒歩入場など)があることは認識しております。地元自治体や関連省庁との話し合いを進めて、お客さまが来場方法を選べるかたちを目指すことも、当然、考えてはおります」
しかし、まずは今年、チケット&ライドで成功をおさめなければ、次の一歩もない。
「おっしゃる通りだと思います。まずは今年、安心で安全な日本GPにしなければ」
高瀬氏が今年2月から折に触れて発言しているキーワード、“観客のみなさんが笑顔で帰れる日本GP”の実現に期待したい。