中国のチェリー自動車との提携に向けて動いているクライスラーグループだが、チェリー製の小型車は安全基準などでまだアメリカで市販する段階には至っていない、とクライスラー重役が発言した。
クライスラーのアジア担当、フィル・マータフ氏によると、「コンパクト、サブコンパクトというクラスでは安全性というものが最も重要なセリングポイントとなるが、その点でチェリー車はアメリカの厳しい安全基準を完全にパスする、とは言えない。大きな障害はないが、パーツの安全性など細かい部分にまだ改良の余地がある」という。
ただしチェリーとのジョイントベンチャーについての話し合いは前進しており、両社の関係は良好である、とマータフ氏は強調した。
この発言は、日産との小型車OEM生産の合意が大きく報道され、チェリー製の自動車を安価でアメリカ国内で販売する、というプランについてクライスラーが諦めたのではないか、と憶測が飛ぶ中、今後の中国との関係、アジア市場をにらんでのリップサービスではないか、と受け止められている。
チェリー製の車はアジアや南米などでの販売にあて、アメリカ国内は日産製の小型車で、という方針転換を考えているのか、それとも数年後にはチェリー製の車もラインナップに加えるつもりなのか。
チェリー側では「北米やヨーロッパ市場はすでに成熟したマーケットで、新規に参入するのは短期間では不可能」と発言するなど、クライスラーを牽制するような発言も見られるが、さてどうなるのだろう?