【インタビュー】インドの自動車ビジネス…住友商事の佐藤誠常務

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【インタビュー】インドの自動車ビジネス…住友商事の佐藤誠常務
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インドは現在、ものすごい勢いでモータリゼーションが進み、自動車業界関係者の注目の的になっている。生産台数も150万台(2007年度)に達し、5年前の2倍になった。しかもその勢いは増すばかりだ。

そのインド市場で古くから自動車ビジネスに力を入れてきた商社が住友商事である。そのため、住商の自動車部隊は自動車関連企業の勉強会でインド市場について講演することも多い。そこで、同社の佐藤誠常務執行役員自動車事業第1本部長にインドの自動車ビジネスについて聞いてみた。

──インドへはよく行くのか。

佐藤 昨年は7回行った。そのほかベトナムにも3回ほど行っており、最近はアジア専門という感じで海外出張に行っている。なかでもインドは行くたびに変わっている。モータリゼーションがものすごい勢いで発達し、近い将来、乗用車300万台、商用車80万台ぐらいの市場に行くのではないかと思う。

──そのインド市場で、住商はマツダが保有していたスワラジ・マツダの株を全部買い取って持ち株比率が41%になり、昨年いすゞ自動車とインドで商用車を生産・販売する契約を結んだ。現在の状況は。

佐藤 昨年8月にスワラジ・マツダが35億円を投資し、工場を建設して生産を開始した。いすゞのエンジン、トランスミッション、シャーシなどを持っていき、そこで大型バスを組み立てている。多少時間がかかったが、ようやく1月末ぐらいから販売を開始する。最初のうちは「パワードbyイスズ」ということで、いすゞという名前を使わずに売り出すことになると思う。現在、100台程度の注文が来ている。

──生産開始から販売まで少し時間がかかったそうだが、何か難しい点があったのか。

佐藤 特にボディと内装の部分で品質を上げるのに結構苦労をした。今までスワラジ・マツダは自分たちでシャーシをつくり、ボディを外注してスクールバスをつくっていたが、大型の観光バス的なものをやるのは今回が初めてだった。とりあえず年間1500台生産し、販売していく方針だ。今うちの人間が2人行っているが、そのうちいすゞからも人を出してもらいたいと考えている。

──その後の展開については、どう考えているのか。

佐藤 今は40数人乗りの大型バスをやっているが、次は20数人乗りの中型バス、そして小型バスをやろうと計画している。また、高速道路網が整備される2010年以降になると、物流が見直され、本当にいいトラックの需要が増えてくると思うので、それに合わせる形でトラックの投入も検討している。

──住商はスズキのマルチ・ウドヨグに設備を納めるなど、古くからインドで自動車ビジネスを手がけてきたが、インドでビジネスを進めるうえでのアドバイスはあるか。

佐藤 自動車業界関係者にもよく話すが、インドは規制があまりないため、参入するのは簡単だが、あとで苦労することが多い。そういう面では中国のほうがやりやすいかもしれない。インドは民主主義があまりにも発達しすぎて、物事がなかなか決まらないということがある。また、いいパートナーを選ばないと、あとで非常に苦労することになる。というのも、一度組んでしまうと、相手の了解を得ないと提携を解消することや独自に新しいことができない。しかも、インド人は覇権主義的なところがあるので、できれば単独、あるいは日本企業がマジョリティを取って進出するほうがいいと思う。

《山田清志》

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