【中国取材】トヨタ車セールスの秘密兵器「e-CRB」

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中国のレクサス/トヨタのディーラーでは、顧客管理システム『e-CRB』を中心にして様々な販売支援のITツールが用意されている。例えば、レクサスのディーラーでは日本でもおなじみの「3Dシミュレーター」が用意されており、商談テーブルの上でクルマの装備やカラーを選択。画面を見ながら、「マイ・レクサス」を検討することができる。

この3Dシミュレーターから見積書作成システムは連携しているので、価格もすぐにわかる。さらに見積書の作成システムもe-CRBと直結しており、来店者が見積もりを取れば、その顧客情報と見積もり内容は即座にi-CROPに登録される。ここから先はi-CROPの販売支援オペレーションのスキームに乗り、適切なタイミングと内容で販売活動が行われるのだ。個々のITツールが最先端であるだけでなく、すべてがe-CRBにつながり、シームレスに連携しているのがポイントである。

そして、これらe-CRBの効果は絶大だ。

取材に訪れたレクサスや広州トヨタのディーラーでは、営業も含めたスタッフの年齢層は圧倒的に20 - 30代が多い。しかも大学を出たばかりの20代前半 - 半ばが大半だ。これら若手セールスが、中国の富裕層に対して一流のスキルでセールスをし、レクサスやカムリを大量に売っているのだ。

「中国において自動車ディーラーは『ニュービジネス』。ディーラー経営者のマインドは合理的かつ柔軟であり、スタッフは若手中心でe-CRBをしっかりと受け入れて使いこなしている。まっさらな市場だからこそ、e-CRBのような新しいコンセプトの効果が大きく現れている」(トヨタ自動車e-TOYOTA部部長の友山茂樹氏)

e-CRBは若手スタッフのスキルを底上げするだけでなく、ディーラーの経営面において、人材確保のしやすさや人件費の抑制といったメリットを生み出す。さらにe-CRBに投入される情報は、個人情報保護の観点から、すべて現地のトヨタが保存・管理する仕組みになっている。ディーラーやスタッフが業務で利用するには問題ないが、不正な「顧客情報の持ち出し・流出」や「特定のディーラーが顧客情報を囲い込む」といったことができず、この点でトヨタ側のメリットも大きい。

このようにe-CRBは、経験の浅いスタッフのスキルを底上げし、まるでベテランのように購入見込み客にクルマを買わせる。さらにディーラーの経営と運営を合理化・効率化する効果もある。自動車メーカーが用意したディーラー支援システムとして、世界でも類を見ない革新的なものと言える。

《神尾寿》

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