フランス政府は2008年1月1日から、車両の二酸化炭素(CO2)排出量に応じた奨励金・課徴金制度を導入する。これは、走行1kmあたりのC02排出量を基準にランク付けを行なうもの。
環境改善への特効薬の意味から「エコ・パスティーユ」(環境トローチ)と名づけられた政策の一環だ。CO2排出量の少ない新車を購入するユーザーには、政府による200 - 1000ユーロの購入奨励金が適用される。
対して、CO2排出量が基準値以上のモデルを購入する場合、200ユーロから最高2600ユーロの課徴金が車両価格に上乗せされる。フランスにおける現行市販車のうち、25 - 30%がこの課徴金の対象となる見込みだ。
国内3ブランドは小型車中心のため、奨励金対象となる車が多く有利である。たとえばプジョーは、全ラインナップの7割が奨励金対象となる。そのため各社とも、2007年に回復した国内販売に弾みをつけるとして期待している。フィアット系各ブランドや日本車にとっても、追い風になるとみられている。
いっぽうでSUVや大型高級車を多く据えるメーカーにとって今回の制度は深刻だ。たとえばブガッティ『ヴェイロン』は、課徴金の最高額である2600ユーロが適用される。そのためドイツ自動車工業会からは早くも「国内メーカーの保護貿易主義だ」と反発の声が上がっている。
ちなみにフランスでは、この自動車エコ政策実施と時を同じくして、公共の場所でのタバコが禁止される。それを受けて、年末には収入源を恐れるタバコ店主らによるデモが行なわれた。
美しい空気を取り戻すのには、何処の国でも対立が伴う。