【伊東大厚のトラフィック計量学】踏切の渋滞対策あれこれ

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◆踏切の多い日本

国連の調査によれば、日本は世界有数の“踏切大国”だ。国土面積あたりの踏切密度では第1位、鉄道延長あたりでも第2位となっている(表1)。

現在、渋滞と事故で16兆円程度とされる道路交通の損失額のうち、踏切に起因するものは1兆5000億円、その多くは渋滞によるものだ。踏切の渋滞対策はどのように進めていけばよいのだろうか。

欧米主要都市との比較でも、東京・大阪は群を抜いて密度が高い(表2)。東京や大阪には1平方kmに1か所踏切がある計算になるが、パリやロンドンにはほとんどない。モータリゼーション進展期の違いなど、背景要素は異なるのだろうが、その差は歴然だ。


◆安くて早い踏切対策とは?

踏切がすべて立体交差になれば理想的なのだが、立体交差は極めて高価だ。延長1 - 2kmの連続立体交差の場合、事業費は百億円規模となり、完成まで何年もかかる。

安くて早い“即効対策”にも有効なものがある。現在、踏切の遮断時間を短縮するため判定ロジックの高度化が進められている。列車の位置だけでなく速度も考慮に入れ警報開始を遅らせる、“賢い踏切”と呼ばれる取組みである(図1)。

昨年度15か所の踏切で行われた実験では、ピークの1時間で遮断時間が平均44分から36分に8分短縮、終日でも平均90分短縮され、有効性が確認されている。全国規模の早期導入が望まれる。


◆一旦停止の必要ない踏切信号機

踏切信号機も有効だと思う。日本では、踏切での一旦停止が義務付けられており渋滞の原因となってしまうが、踏切でも信号機が青なら停止の必要はない。

踏切信号機は既に導入されている。しかし現状では東京の環状7号線と世田谷線の若林踏切のように、LRT(Light Rail Transit)や路面電車のケースが多いようだ。

広く踏切信号機を導入するには、万が一の故障や誤作動、踏切内に自動車が留まってしまった場合など安全上の課題をクリアする必要があり、センサー類の多重化・高度化など通信技術の活用に期待がかかる。踏切信号機が普及すれば、“賢い踏切”とともにボトルネック踏切の渋滞緩和に役立つはずだ。
《伊東大厚》

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