【池原照雄の単眼複眼】東京モーターショーは「スポーツ」の競演

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『TYPE R』から『IS F』まで今年は当たり年

今年はスポーツ車の新モデルの当たり年となった。それも2人乗りのコテコテのスポーツでなく、セダンやセダンをベースにしたクーペモデルである。外観はおとなしくても走りは凄いよという、クルマの楽しみ方を提案するモデルだ。新車の売れ行きが冴えない日本市場だが、10月26日に開幕する東京モーターショーでは、「スポーツ」の競演が日本車の見所となる。

セダンあるいはクーペのスポーツモデルは、3月にホンダの新型『シビック・タイプR』が投入されていたが、ここに来て発表が集中している。三菱自動車の『ランサーエボリューションX』、日産自動車の『スカイラインクーペ』、さらにトヨタ自動車のレクサス『IS F』(発売は12月25日)だ。

◆ファンシーな形だけがスポーツではない

10月24日の東京モータショー・プレスデー初日には日産の『NISSAN GTR』が発表となる。価格は700万円台後半で、レクサスIS F(766万円)と同一のゾーン。この2台のプレミアムスポーツの激突は、何かと話題を提供することにもなろう。

トヨタの豊田章男副社長は「日本のクルマ好きの方たちに選択肢が広がるのはいいこと」と、ライバルの存在を歓迎している。一方で「スポーツカーは形がファンシーなものと受け止められやすいが、本質は味付けにある」と、IS Fのチューニングにも自信たっぷりだ。

同モデルは4ドアセダン「IS350」をベースにしているため、外観からは走りの強烈なイメージは伝わりにくい。しかし、新開発の電子制御8速トランスミッションなど、あらゆる面で同社の最新技術を動員、「エモーショナルな走り」(豊田副社長)も問う仕上げにしたという。

◆「環境」だけでなく「走り」の先端テクノロジーも

これらのスポーツモデルの国内販売計画は、月数十台から数百台と少ない。国内向けだけではとても採算が合わないレベルだが、いずれも海外市場で相当な量をこなすため、日本への投入が可能となっている。

例えばIS Fの場合、モデルサイクルを通じた国内販売は月40台の見込み。しかし北米を中心にしたワールドワイドでは年7000台の販売計画としている。これまでスカイラインシリーズの最上級モデルという位置づけだったGT-Rも、海外市場での人気を目論んでおり、名称もスカイラインでなく「NISSAN」を冠するようにした。

各社のスポーツモデルが海外向け主導で開発されるのは淋しい気もするが、お陰で、日本のユーザーは幅広いクルマ選びができる。今世紀に入って、東京モーターショーは毎回「環境技術」が柱となってきたが、今年は心ときめく「走り」の先端テクノロジーにも注目してみたい。

《池原照雄》

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