8月29日 アウディ『A6』シリーズに新開発2.8リットルV6エンジンを搭載した「2.8FSIクワトロ」が追加された。
これまでのA6のモデルラインナップは、「2.4」「3.2FSIクワトロ」「4.2FSIクワトロ」の3モデル。ここでなぜ、2.4と3.2の間にあえてもう1モデル必要なのかと疑問に思う人もいるだろう。しかしアウディジャパンにとっては、じつはこの2.8クワトロの存在は大きな意味を持っているのだ。
「この2.8FSIクワトロには、A4ユーザーのステップアップの受け皿になることを期待しています。A6 2.4も単体でのパフォーマンスはじゅうぶん以上ですが、ステップアップ志向のユーザー、つまりA4であればクワトロに乗っているユーザーにとっては、やはり物足りない面は否めませんでした」
マーケティング部の青木徹さんは、A6 2.8FSIクワトロ導入の理由をこう説明する。たとえばBMWの場合、車両価格484万円の『323i』でその魅力を知り、次は「5シリーズ」にステップアップしようと考えたときには、約150万円差、633万円の『525i』という選択肢がある。いっぽう、459万円の『A4 2.0TFSIクワトロ』と597万円のA6 2.4の価格差もほぼ同じではあるのだが、この場合、A4がクワトロなのに対してA6は前輪駆動になってしまう。アウディに惚れ込んだオーナーともなれば、やはり次も当然クワトロを選びたいところだが、そうすると選択肢に入るのは716万円の3.2FSIクワトロとなり、価格差が大きく膨らんでしまうのだ。
2.8FSIクワトロの価格はセダンで628万円と、ちょうどそのギャップを埋めるところに位置する。
「いわばA6クワトロへのエントリーモデルの位置づけになります」。青木さんがそう話すように、これはA4で獲得したアウディ・ファンのA6へのスムーズな移行を促す戦略モデルなのである。