サブプライム問題の影響はいまだ未知数
日本の株式市場を支えてきた外国人投資家は、欧米市場で発生した損失を穴埋めするため日本株を売り、大幅な売り越しに傾いている。さらに、保有株を担保にして買い付け資金を得て信用取引を行っている個人投資家が、下げ局面での担保積み増しのため別の保有株を売りに出すことで、「売りが売りを呼ぶ悪循環」が一段と加速した。
日本市場が急落した日に実施されたFRBの公定歩合引き下げは、こうした市場の不安心理が頂点に達したところに飛び込んできただけにインパクトは大きかった。しかも、FRBが招集した米連邦公開市場委員会(FOMC)は緊急声明で、「金融市場の混乱が経済にもたらす悪影響を和らげるための必要な措置をとる用意がある」と表明、市場の先行き不安をぬぐう上でも一定の効果をあげた。
しかし、楽観視は許されない。アメリカの好景気、そしてそれを支えた住宅ブームは、サブプライムローンを利用していた低所得層あってこそだという指摘もある。この層が壊滅すれば、住宅バブルが崩壊し、ひいては景気が減速する可能性も否定できないからだ。
そしてこの問題は、単なるローンの焦げ付きでは済まない。ローン会社は、融資したローンを証券化し、債券という形に加工して、世界中の金融機関に販売していたからだ。ローンの焦げ付きは、この債券を買った世界中の金融機関を直撃する。さらに、債券購入者には、世界中の株式に投資しているヘッジファンドも含まれる。株式市場に影響力を持つ有力ファンドが多額な損を被った場合に予想される波乱が警戒心を誘い、世界的な株安の流れを加速した側面もある。
実際のところ、サブプライムローン問題の影響がどこまで拡大するは、まだ不透明な状況にある。この未知数の不安が、さらなる不安を生んでいるのでおり、当面はサブプライムの呪縛に悩まされる可能性が高い。
このように考えると、日本の株式市場、とりわけ米国景気と切っても切れない自動車メーカー各社の株価も以前不透明な動きを余儀なくされそうだ。